肉屋に魚を売りに行っていませんか?
こんな風に、思ったことはありますか?
『通訳の仕事が来ない』
『通訳案件の照会がない』
『紹介は来るけどやりたい分野の通訳じゃない』
どれも深刻かとは思いますが…
それって、『肉屋に魚を売りに行っていませんか?』ってこと。
ナニイッテンダって?
魚なんか売ってないよって?
そうでしょうね笑。肉屋も魚も、ただの喩えです。
肉屋 = 通訳エージェント(ソースクライアントでもいいです)
魚 = あなたの通訳
酒井が通訳コーディネータ時代に、たくさんの(たぶん)優秀な通訳者さんが登録や面談に来てくださいました。中には、国賓だったり国のトップに付いて通訳をした経験がある方なんかも。
分野的にも非常に幅広い通訳者さんがいらっしゃいました。
金融、IT(この括りは大きすぎますが)、広告、化粧品、医療医薬、製造、原子力、、、
特に印象的だったのは、原子力関連の通訳や翻訳案件では『まずこの通訳者』と言われるような方が面談にいらしたこと。酒井は門外漢なので(…というより通訳者さんに比べたら何もかもが門外漢ですが笑)、正直なところ、その実績のスゴさや、リファレンスが出ているセンセイ方のお名前などもピンときませんでしたが、『とにかくすごい通訳者さんだ』というのは良く伝わりました。『この通訳者さんなら、もうなんでもお願いできそうだな』と。
そんな素晴らしい通訳者さんでしたが、結局、酒井がいた通訳エージェントからは通訳も翻訳も、お仕事をお願いすることは一回もありませんでした。なぜか?
レートが高かった?
…いえ、違います。
物腰が横柄だった?
…いえ、とても謙虚、落ち着いた感じで、信頼できそうな印象です。
では、なぜ?
答えは簡単、その通訳エージェントには原子力関連のお仕事がなかったからです。
原子力は若干極端な例かもしれませんが、微妙なところで多くの通訳者がこうしたギャップに気付かずに自分を売り込んでいます。新鮮な魚を売りたいのに、肉屋に行っているわけです。
国際会議や大きなカンファレンスで通訳をしたいなら、個人経営の小さな通訳エージェントではなく、やっぱり大手エージェントJ社やS社、C社にアプローチをしないとチャンスは巡ってきません。『まだこれから』の通訳者が、国際会議ばかりを扱っている通訳エージェントに登録に行って、相手にされるでしょうか?逆に、全日10万円を超すレートの通訳者が展示会通訳を中心に派遣しているエージェントに登録して、案件照会がありえるでしょうか?
こう考えると、『やりたい通訳案件が来ない』とか『照会がない』と嘆く前に、『アプローチしている相手(エージェント、クライアント)は、あなたが売りたい商品(やりたい分野)を扱っているか、その案件はたくさんあるか』を考えてみるといいかもしれません。もし、マッチしてないようなら、マッチしている売り先を探しに行くべきです。
せっかく商品を売るなら、行列ができているお店に売りたいものですよね。
あなたが請けたい分野の通訳を多く扱っているクライアントはどこでしょうか? 在庫(通訳者)がなくて困っているお店はどこでしょうか? ぜひ、あなたのスキルを欲しがるクライアントで行列ができている取引先を見つけてください。