???「通訳者・翻訳者の大多数が仕事にあぶれる理由」
ブログ担当の酒井です。こんな記事を読みまして。
大塚明夫「声優の大多数が仕事にあぶれる理由」 ~ 300の椅子を1万人以上が奪い合っている
特に印象的な部分を抜粋して転記させていただきますね。(元記事のリンクも貼ってます)
よく考えてみてください。この世界には、「声優」という身分を保証するものは何もありません。資格やら免許があるわけでもない。人様に言えるのはせいぜい、「□□という声優プロダクションに所属しています」「××という作品の○○というキャラクターの声を担当しました」くらい。それだって、誰にでも通じる自己紹介にはなりえません。社会的に見れば極めて頼りない、むしろ存在しないに等しい肩書きなのです。
(中略)
このくらいは皆さんもご承知だと思いますが、「声優になった」からといって、声の仕事が自動的に、毎月のお給料のように舞い込んでくるわけではありません。
(中略)
この順番を取り違えている新人声優がよく、「声優になったのに仕事がない、おかしい……」と悩んだりするのですが、そこで「なんで僕に仕事がこないんだろう」と真剣に考えられる人ならばまだマシなほう。「就職」気分が抜けない人にはそれが難しいらしく、「仕事がこないのはおかしい」という考えから抜け出せないまま、大小さまざまな失望を抱いてこの業界を去っていくことになります。
(中略)
なぜ、「仕事にあぶれる声優」が多いのでしょう。それは簡単な話で、「声優」の数が増えすぎたからです。「声の仕事」は、現在声優と名乗れる立場の人間の数に対してあまりにも少ない。
(中略)
ははあ、「もらえる仕事はろくにない」ということは、大塚明夫は「仕事は自分で作れ、甘えるな」と続ける気だな……。そんな想像をされたあなたに言っておきましょう。
声優は、自分で仕事を作れません。
(元記事はコチラ → 東京経済オンライン 2019/12/30 https://toyokeizai.net/articles/-/321702 )
もちろんお分かりかと思いますが、「声優」の部分を「通訳」または「翻訳」に置き換えてみると・・・
あなたにとっても非常に含蓄の深い言葉に聞こえるはずです。
いいことがたくさん書いてありますが、特に心に残ったのは『声優は、自分で仕事を作れません。』の一文。
すでに書いてある通りですが、「仕事は自分で作るもの」とでも言っておけば「なるほどなぁ」と思えそうなところのこの一文。まさに真実を抉っていて、素晴らしい、というか、さすが大塚明夫氏だなぁと(もともと好きなんです)。
そう、通訳も翻訳もまったく同じで、自分で仕事を作ることはできないんです。どこかの誰かが「通訳が必要な仕事」「翻訳が必要な仕事」を作ってくれて初めて必要とされるお仕事なんです。「受注産業」と言ってもいいんじゃないかと思います。
大塚氏はこの記事の一部でここまで言い切っています。
こんなに商売として成り立っていないものを、安易に将来の「職業」として選ぶのは危険です。即刻やめたほうがいい。
この言葉、決して自分の地位を守ろうとか後進に入ってきてほしくないとかではなく、根っこにあるのは「愛」なんだろうと感じます。
じゃあ、通訳、翻訳はどうなのか。同様に「やめておいた方がいい」のか。
僕は正直、わかりません。が・・・
「やめておいた方がいい」と言われて、書かれて、「じゃあ・・・やめておこうかな」と思うようなら、本当にいますぐにでもやめておいた方がいいとは思います。
ただ、「やめておいた方がいい」と言われても、書かれても、「それでも・・・やりたいんだよね」と思える、思ってしまったなら、できるところまで頑張ってみる方が「楽しい人生」だと思うし、応援したいと思います。
通訳も翻訳も「簡単に稼げる仕事」「頑張れば報われる仕事」とは決して思えません。
それを理解した上で、「それでも・・・」なら、その気持ちを大切にしてほしいと思います。