「通訳になりたいんです。どうやったら通訳になれるんでしょうか。通訳になるにはどんな勉強をすればよいのでしょうか。」
こういって私のところにご相談をいただくケースが増えています。
2020年に東京オリンピックを控え、政府も年間2000万人の訪日外国人を誘致するという目標を掲げてインバウンド施策を矢継ぎ早に打ち出しています。これから東京五輪開催までの間、日本を訪れる外国人の数が着実に増えていくと思われます。
こうした時代背景を考えると、「通訳になりたい」「通訳になるには?」という方が増えることも当然の流れかと思います。
目次
「どうして通訳になりたいんですか?」
「通訳者」ってなんですか?
相談に来ていただいた方に最初にする質問です。
なぜこんな質問をするのか?
一言で「通訳者」と言っても、そのタイプをひとくくりにするわけにはいかないからです。
代表的な通訳者タイプとして、以下のようなものが思い浮かびます。
それぞれの特性も記載してみました。
*分け方含めてすべて酒井の個人的見解です
上記の様に、あなたがどのような内容を通訳したくて(通訳内容)、どのような人のために通訳をしたいのか(通訳対象者)、どんな契約タイプが都合がよく(契約タイプ)、どの程度の収入を目指しているのか(レート傾向)で、同じ「通訳者」と言っても求められる能力や専門性、条件や取引先(依頼者)がまったく異なってくるのです。
なので、私としても「通訳になるには?」と相談をいただいても、まずは「どうして通訳者になりたいんですか?」「(あなたにとって)通訳って何ですか?」と訊き返すところから始まるのです。
さて、あなたが目指す「通訳者」というものが明確になったとしましょう。
そこで初めて「通訳になるには?」に進めるのですが、、、
多いのが、通訳になるにはどんな資格を取ればいいですか?通訳になるにはどの通訳学校に行くべきですか?など、、、
極論を言ってしまえば、通訳になるには資格など必要ありません。
通訳学校も必須ではありません。
あなたが自分で「私は通訳者です」と言ってしまえばそれであなたも通訳者です。
・・・という回答を読んで、おそらくあなたは「そうは言っても」と思われたのではないでしょうか。
しかし、事実です。
通訳になるには何の資格も必要ありません。
それでも、あなたは「私は通訳者です」と言えない、、、
なぜだと思いますか?
実はここに本質が隠れているのですが、その説明は後にして、まずは通訳といってもどのようなタイプがあるのかを説明していきます。
オリンピックの影響を一番強く受けているのがいわゆるガイド通訳、「通訳案内士」です。
2016年1月現在、この「通訳案内士」資格は語学関連で唯一の国家資格となっています。
もしプロのガイドとして外国人観光客を関連の通訳をしたいということであれば、通訳案内士の資格を取得しておくことはひとつの条件になります。
<日本政府観光局ホームページから抜粋>
通訳案内士法の規定により、報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする業を営もうとする者は、通訳案内士試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があります。
詳細は以下の日本政府観光局のホームページで確認できます。
http://www.jnto.go.jp/jpn/interpreter_guide_exams/
しかし、通訳案内士の資格がなくてもできる通訳業務はたくさんあります。
例えば国際展示会・国際見本市などでは外国からの出展社も多く、確実な通訳ニーズが見込まれます。
この手の仕事であれば「展示会」「見本市」&「通訳」などのキーワードで検索して出てくるエージェント等に登録しておけばお仕事が出てくるでしょう。
展示会によってはある程度の専門性が必要なケースもありますが、一般来場者を対象とした展示会では、通訳というよりもコミュニケーションサポートといった位置付けでの依頼も多く、同時通訳などの高度な通訳スキルが求められないケースがほとんどです。
そのため、通訳スキルや通訳としての実績や経験というよりも、エージェントのコーディネータにいかに覚えてもらうか(思いだしてもらえるか)が他の通訳者を抑えて仕事をもらうポイントになります。
通訳案内士や展示会通訳が「コミュニケーションサポート」という位置付けだとすると、「言葉のプロフェッショナル」としてのイメージが強くなってくるのが会議やプレゼン等で通訳を行う「産業通訳者」です。
ここではさらに「社内通訳者」と「フリーランス通訳者」に分けて説明をしていますが、この区別は単なる契約や環境の違いなので、本質を正確に表しているわけではありません。あくまで概念的な区別に使っている程度としてご理解ください。
社内通訳者は文字通り「ある企業に所属して通訳を行う人」です。
多くは派遣会社や通訳エージェントからエンドクライアントである企業に派遣される形を取ります。
業務内容はその企業で行われる会議やプレゼンに外国人が参加する場合に同席して通訳を行います。
「プロジェクト付き通訳者」という位置付けで、特定の企業内のさらに特定のプロジェクトのために通訳を行うケースもあります。
通訳が必要な会議がない時間帯は休憩や予習時間にあてたり、場合によっては翻訳を依頼されたりすることも多いポジションです。日によっては長時間をひとりで通訳する必要があるなど、タフな場面もありますが、だからこそここで地力を付ける方もたくさんいます。
特徴としては一定期間その企業の業務にあたることになるので、時間の経過とともに業界の知識の蓄積が見込まれ、一発勝負のフリーランス通訳者に比べて「成長」というキーワードが関係者の前提にあります。
自然と求められる通訳スキルや専門性などもフリーランスほどは期待されないことが多いため、「いつかはフリーランス通訳者になりたい」と考える方にとって「経験を積む場」となるポジションとも言えます。
もちろん、これはフリーランス通訳者に比べて社内通訳者のレベルが低いとか高いという話ではなく、あくまでも「入りやすさ」「仕事の得やすさ」からの違いであることは認識しておいてください。
ここで仕事・ポジションを得るには派遣会社、通訳エージェントに登録してポジションに応募するのが一般的です。その際に重視されるのは、業界経験、通訳実績です。そういう意味でも、自分が専門としたい業界や分野は将来性も考慮に入れて早めに決める、かついくつかの柱を作っておくことをお勧めします。
「いつかフリーランスになりたいんです」という声を多く聞きます。
長年コーディネータとしてお仕事を依頼していましたが、まさにプロフェッショナルの極致。
心身ともに非常にタフでプレッシャーのかかる働き方だとは思いますが、その分やりがいも大きく、収入面でも1000万円~も十分に見えてきます。
ただし、評価が高ければ案件の依頼、照会は集中しますが、そうでなければ声もかからず、高いレベルでの収入の安定が課題になるのも現実です。社内通訳者がなかなかフリーランスに踏み出せない理由もここによるところが大きいでしょう。
収入の公式は非常にシンプルです。
通訳レート x 案件照会数 x 受注率 = 収入
このみっつの項目のいずれかを上げれば収入がアップします。それ以上でもそれ以下でもありません。
一定期間の仕事を保障されている社内通訳者とは違い、「次の仕事」が常に約束されているわけではありません。フリーランス通訳者として仕事を得てそれを「継続」していくためには、スキルや実績だけではなく「通訳者としてのマーケティング」が非常に重要になってきます。数多くいるフリーランス通訳者の中で、「なぜあなたを選ばなくてはならないのか」をしっかりとエージェントのコーディネータに理解させ、させ続ける必要があります。
通訳コーディネータ時代を思い返すと、このマーケティングの観点をしっかり理解してアプローチをしてこられた通訳者さんは数えるほどしかいませんでした。その数えるほどの通訳者さんに仕事が集まっていたのは言うまでもありません。
「資格は必要ない、通訳学校に行くことも必須ではない、その理屈はわかる。けど・・・言えない、言いにくい」
実はここに、「通訳になる」ための本質が隠れています。
その本質とは、「何があれば、あなたは自信をもって自分のことを『通訳者です』と言えるようになりますか?」という質問に対する答えです。
通訳案内士になりたいのであれば、シンプルです。
通訳案内士の資格を取得すれば、「私は通訳案内士です」と胸を張って言えるでしょう。
では、社内通訳者としては?フリーランス通訳者としては?
TOEICスコア?英検?通訳学校の卒業証書?
それとも、通訳経験?実績?通訳スキル?
さらに、どのくらいの資格、どのくらいの経験や実績、通訳スキルがあれば、自信をもって「私は通訳者です」と言えるようになりますか?
TOEICスコアが990あれば自信を持てるのでしょうか?では900では?
社内通訳者として5年のキャリアがあれば自信を持てるのでしょうか?では4年10ヶ月では?
通訳学校を卒業すれば自信を持てるのでしょうか?そのスクールは他のスクールより「優れている」のですか?
お分かりかと思いますが、あなたにあてはまる自信の素は、あなた以外にはあてはまりません。
言い方を変えれば、あなただけがあなたに自信を持たせることができるのです。
それは、TOEICスコアかもしれませんし、通訳学校の卒業証書かもしれません。
以前に引き受けた通訳でクライアントに言われた「ありがとう、助かりました」かもしれません。
「通訳になるには?」の答えは、「私は通訳者です、と言えるようになるには?」の答えです。
ぜひその質問の答えを考えて、あなたなりのルートを見つけてみてください。
次に、通訳者としての自信を付ける手段をいくつか挙げておきます。
勤務・留学等の海外長期滞在
語学系スクールへの通学
通訳学校への通学
通訳として働く(経験を積む)
専門分野の知識を深める、幅を広げる
人材派遣会社への登録
通訳エージェントへの登録
通訳学校・講師
通訳エージェント・コーディネータ
通訳者の先輩・仲間・友人
インターネット・雑誌・メルマガ
通訳者向けイベント・交流会への参加
通訳者としての差別化・セルフブランディングを行う
依頼元(コーディネータ等)を理解して適切なアプローチを行う
適切なレート設定を行う
照会件数を増やす
受注率を上げる
「私に依頼するべき理由」を明確に伝える
あくまで一例ですが、あなたが自信を付けるために役立ちそうな方法があれば、さっそく行動に移してみてください。
そして、私が特に皆さんにお勧めしたいのは、最後に挙げた「マーケティングを行う」です。
通訳者は高度な通訳スキルが求められます。いわば職人的な要素が強いお仕事です。
スキルがないと仕事が来ない、それは事実です。
しかし、「スキルを磨けば仕事が増える、稼げるようになる」という考えが「単なる思い込み」に過ぎないこともまた事実です。
これは、10年以上通訳エージェントに勤めて通訳者に発注し続けていた私の経験から自信を持っていえます。
コーディネータは通訳スキルが高いから仕事を出すわけではありません。それ以外の様々な要素を考慮に入れて通訳者を選んでいます。
誤解を恐れずに言えば、通訳コーディネータにとって、通訳スキルは単なる要素のひとつに過ぎません。
その「選ばれる要素」をしっかりと理解して、通訳コーディネータに適切に、いやらしくなく、「私を選んでください」と伝える、そして、「選ばれる通訳者になる」。これを可能にするのがマーケティングです。
想像してみてください。
・TOEICスコア990、通訳学校をトップ成績で卒業、しかし、エージェントからの仕事は月に3件
・TOEICは5年前に受けたきり、通訳学校は行っていない、しかし、エージェントからの仕事は月に20件
どちらの通訳者が、「私は通訳者です」と自信をもって言えそうでしょうか?
答えは明らかだと思います。
いま通訳コーディネータ時代を振り返ると、マーケティングを意識してアプローチをしていた通訳者はほぼいなかったなと思います。だからこそ、少しでもその要素をもっている通訳者に仕事が集まっていました。
そして、「通訳者のためのマーケティング」は、通訳学校も、通訳エージェントも、通訳者仲間も、教えているところはありません。これまでは「自分で考えてやってみる」しかなかったのです。しかし今は、カセツウのサポートがあります。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
ひとつでも、ふたつでも、あなたにとっての発見があり、通訳者としてのキャリアパスがイメージできるようになっていたなら嬉しく思います。
そして最後に、さらにあなたの行動を後押しするプレゼントをお贈りしたいと思います。
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