【読者質問】通訳者のプロフィールはエンドクライアントに見せるの?
ブログ担当の酒井です。
今日はいただいたご質問にお答えします。
エンドクライアントの企業に通訳者プロフィールを出すのか、という質問です。
通訳エージェントは、どの時点でエンドクライアントに通訳者の情報を提供するんでしょうか? ケースバイケースだとは思いますが、一般的にどうなんでしょう。 つまり、クライアントは一度プロフィールを見た上で、この人はOK、この人はNG、とか言うケースはありますか?
おっしゃる通りケースバイケースなので、僕がいたエージェント、僕が担当したケースでは、という前提で書きます。
まず、基本的には通訳者の詳細な実績表やプロフィールは出さないことがほとんどでした。『いつものクライアントからのいつもの案件』というものがあるので、割合的に出さないケースが多くなるのはご理解いただけるかと思います。そして正直、通訳者の実績表やプロフィールを提出するというのは通訳コーディネータにとっては ”手間” だし、場合によってはクライアント側から『他の通訳者がいいな』と言われるような ”リスク” になるので、提出せずにこちら側(通訳エージェント側)で通訳者を決定してしまいたい、というホンネもあります。
では、どんなケースで提出するのか。例えば・・・
- ”いつものクライアント” の ”いつもの通訳案件” に対して ”いつもの通訳者” が手配できなかった時
普段はAさんばかりが対応している通訳案件でAさんが対応できない日があれば、他の通訳者を提案する必要があります。定期的な通訳依頼をくれるそのクライアントは通訳エージェントにとって大切なクライアントですから、この場合はこちら側(通訳コーディネータ)が気を遣って、言われなくても提出することがあります。『Aさんがその日はNGなので、次回はこのBさんをご手配させてください、念のため実績表をお送りします』といった感じです。 - クライアントが提出を求めてきた時
このケースはちょっとざっくりとまとめ過ぎですが・・・いろんな理由があります。中長期の今後も継続が前提の業務だったり、公的機関の通訳だったり、規模が大きい、重要度の高い通訳案件だったりすれば、事前に通訳者の詳細なプロフィールや情報の提出を求められることもあります。新規のクライアントからのお問い合わせの場合にも求められることはあります。中には『写真付きで』と言われることもあり、その時はちょっと考えてしまいました。通訳者さんにそれを伝えたら『写真(見た目)で判断されるの?』と反応されてしまう危険があると思ったからです。結局その時は僕の時点でお断りしましたが・・・
そして次の質問。『クライアントがプロフィールを見てOKやNGを出すことはあるのか?』ですが・・・
もちろん、あります。そのために確認をしたいと求められるわけですから。で、もしもクライアントから『いやぁ、この通訳者さんはNGで』と言われたとしたら・・・あなたと通訳コーディネータの関係の深さ(信頼関係の強さ)次第ですが、通訳コーディネータはあなたに『クライアントからNGが出た』とは教えてくれないかもしれません。中には『どうしてよ!!』と怒っちゃうかもしれない通訳者もいるからです。少なくとも僕はそんなリスクを負ってまで正直に伝えることはしませんでした(信頼関係がある通訳者なら別です)。
ただし覚えておくといいのは、基本的には通訳コーディネータとしては『この通訳者さんでいかせてくれ』と思いながら提案・提出しているわけですから、できるだけOKが出るように伝えたり働きかけたりはしてくれているはずです。そういう意味で、やっぱり通訳コーディネータさんとの関係はしっかりと構築しておく方が良いですね。ぜひその点、意識してみてくださいね。
そうそう、これは今回の質問とは関係のない余談ですが、中には『通訳コーディネータは常にクライアントの味方(通訳者には味方してくれない)』なんて考えている通訳者さんもいるようですが、上に書いた通りそうでもないです。もしそんな風に考えているとしたら、きっとそれは『通訳者』の味方をしないんじゃなくて、『あなたの』味方をしてないだけなんじゃないかな。ちょっと厳しい言葉かもしれませんが、あなたの感じ方、そして『あり方』に問題があるのかも。もしそんな風に感じていたなら、まずは自分の接し方から考えてみることをおススメします
以上、書いてみましたが、ご質問者さんの参考になったでしょうか?
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