通訳エージェントの取り分は多すぎ?

ブログ担当の酒井です。

通訳エージェントはエンドクライアントからエージェント既定(かどうかはわかりませんが)の通訳料を受け取り、その一部を通訳者にお支払しているわけですが・・・

通訳エージェントの取り分は多すぎると思ったことはありますか?

 

というよりも、そもそも通訳エージェントってクライアントからはいくらくらい受け取っているんでしょうか。何パーセントくらいを通訳者に支払っているんでしょうか。いくつかの通訳エージェントのホームページを見ても、「うちの通訳料金はこうですよ」と明記していない通訳エージェントが多いようです。さすがにこの公開の場で僕が勤めていた通訳エージェントやその他の通訳エージェントの台所事情を晒すつもりはないので(僕は通訳エージェントとも仲良くしたいのです笑)書きませんが、サイマル・インターナショナルには以下の料金テーブルが掲載されていました。

1名 半日
(3時間以内)
1名 1日 延長 1時間
クラスS ¥ 80,000
(税抜)
¥ 120,000
(税抜)
¥ 19,000
(税抜)
クラスA ¥ 67,000
(税抜)
¥ 100,000
(税抜)
¥ 16,000
(税抜)
クラスB ¥ 53,000
(税抜)
¥ 80,000
(税抜)
¥ 13,000
(税抜)
一般クラス ¥ 34,000
(税抜)
¥ 50,000
(税抜)
¥ 8,000
(税抜)

(サイマル・インターナショナル通訳料 https://www.simul.co.jp/interpreting/fees.html)

 

もしあなたがサイマルさんから通訳案件を受けたことがあるなら、上記に対してその一部を受け取っているわけですね。パーセンテージも算出できると思います。もちろんこれは通訳エージェントによっていろんな規定や条件がありますから、参考程度にしかなりませんけれど。

と、こんなビジネスモデルで構成されている通訳ビジネスですが、通訳エージェントって”中抜き”しすぎでしょうか?通訳エージェントの中にいる頃は「あなたたち、取り過ぎよ!」なんて面と向かって言われたことはありませんが(あたりまえですね)、通訳エージェントを辞めて独立した通訳者支援者の立ち位置になってから、「酒井さん、ぶっちゃけ、通訳エージェントって手数料取り過ぎじゃありませんか?」ってぶっちゃけられたこともあります。さて、その答えは・・・?

 

 

 

 

「そう(取り過ぎ)とは思わない」です。

 

11年間、通訳エージェントの中で働いてきてつくづく思いますが、なかなか報われませんよ、通訳エージェント笑。決して右から左に機械的に通訳者さんを流してお金をチャリンチャリンといただいているわけではありません。(中には本当にそんなことしかしてないザンネンな(しょーもない)通訳エージェントもあるようですが・・・)

しんどい時には請求6万円に対して5.5万円の通訳者さんを手配したこともあります。まあぶっちゃけ・・・人件費を考えれば儲けはゼロ、というか、赤字ですよね。案件管理をして何事もなくスムーズに完了し、報告書を受領して支払処理をして請求書を作って、、、と、まったくのノートラブルで終えたとしても赤字です。でも、そういうケースもあるってことです。中には請求と支払が同額になったケースだってあります。もちろんそこにはそうするだけの思惑もあったのですが。

通訳エージェントが通訳者の代わりにやっていること、、、こんなことが挙げられます。

  • 営業活動
  • 受注処理(個人には依頼しない・できないという企業もあります)
  • 資料催促・整理・手配・印刷・送付
  • ペアが必要な場合はペア探し(NGパートナーも考慮します)
  • 機材手配
  • 必要情報の収集(待ち合わせ場所、時間、その他、、、)
  • クレーム対応(発生しないのがいちばん)
  • 支払リスクの請負(逃げちゃったエンドクライアントもいます)
  • 請求処理(毎月数十枚~数百枚の請求書とその入金管理、手間かかりますよ)

などなど・・・

こうしたことをすべて自分でやるというなら、通訳エージェントを経由しなくたっていいと思います。「通訳エージェントを通すと手取りが減るから嫌だ!」と堂々と宣言して、自分で直取引をするクライアントを探しに行くのもいいでしょう。そこに対して通訳エージェントがどうこう言えることはないと思います。

でも、もし、こうしたことを自分で全部やるのはタイヘンだというなら、通訳を依頼してくれるクライアントを自分で探して見つけて依頼してもらう関係に持っていくことが難しいと思うなら、通訳エージェントに感謝しつつ取り分を取ってもらえばいいんじゃないでしょうか。「手間がかかることはやってください、でもお金は払いたくありません」というのは通りませんよね。

 

念のために補足しておくと、酒井は別に通訳エージェントの味方をするつもりはありません。「(使うのであれば)文句を言うんじゃなく、感謝しながらうまく付き合いましょう」とお伝えしたいだけです。

根っこにあるのは「あなたはどちらも選べるはずです」ということ。通訳エージェントをうまく活用していくこともできるし、通訳エージェントを使わないという選択肢も選べます。どこかの通訳エージェントが銃を持ってあなたの家に押しかけてきて「ウチを使え!でないと撃つぞ!」と脅したわけはないはずです。あなたが、使うことを選んでいるだけです。

「自分で選んでいるんだ」という意識があるだけで、感謝できると思います。そして、感謝できれば、その相手(通訳エージェント)との関係はきっと良くなっていきます。すると結果的に良い信頼関係が築かれて、互いに良いビジネスパートナーになれると思いますよ。

 

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