通訳・翻訳だって「試食」したい
ブログ担当の酒井です。
長崎空港で、『角煮まん』を買わされてしまいました・・・
長崎名物とはいえ、買うつもりはなかったんです。だってその直前にはこれも長崎の名物『五島うどんの地獄炊き』を食べたところだったので・・・。お腹が空いていたわけではありません。
それに、その日は朝から何度も角煮まんを売っているお店は目にしていて、でもその度に『いやいや、角煮のまんじゅうでしょ?だいたい味の想像もつくし、ここで食べなきゃ後悔する、というものでもないはずだ・・・』なんて自分を説得しながらスルーしてたんです。
だけど、最後の最後、長崎空港で捕まってしまった。なぜか?
このお店だけが『試食』を積極的に勧めてきたからです。
(意志が弱くて断り切れなかった・・・( ;∀;))
試食と言っても「切れ端」という程度ではなく、パッと見て「え?これ試食させたら買わなくなる人もいるのでは・・・?」なんて思ったくらいの大きさ。結局僕はその試食に手を出してしまって、やっぱりおいしかった&貰いっぱなしじゃ申し訳ないという気持ちが働いて商品を買ってしまいました。
しかも買ったのは「普通の角煮まん」よりももうちょっと高い「大トロ角煮まん」です。だって「普通の角煮まん」はもう試食で食べてしまっていたから・・・
思い返してもなんだか「うまいことやられちゃったなぁ」という感じがします笑。(ちなみに僕の直後に試食をしていた女性もそのまま1個買ってました)
さて、通訳や翻訳においては、こうした「お試し」を嫌がる、心理的に抵抗を感じる通訳者さんや翻訳者さんが多いように思えます。それは特に翻訳よりも通訳の方がより強く感じますが、それは通訳者という属性によるものかもしれないし、翻訳は文字量でお試しができるのに対して通訳は現場に行ってしまえば10分だけお試しで帰る、なんてできないからというのもあるかもしれません。
その上で、通訳者や翻訳者が「お試し」って提供するべきなのかどうか。個人的には、戦略的に使っていけばいいんじゃないかな、と考えています。
マッサージや整体に行ったことがある方ならわかると思いますが、「はじめて」はやっぱり顧客としては少し不安が残ります。いかにそのお店のチラシにすごく立派に思える実績や経歴が書いてあったとしても、「自分には合うのかな」という不安はどうしてもゼロにはしにくい。
そんな時に「初回お試し」の文字(と特別条件)があれば、「じゃあ、試してみようかな」になりやすいはず。
これは通訳コーディネータや翻訳コーディネータだって同じです。どんなに通訳実績・翻訳実績を持っている人でも、最初の依頼は手放しで信頼するわけにはいきません。
翻訳の場合は納期も余裕を見て設定するでしょうし、チェック工程もしっかり手配するでしょう。通訳の場合はちょっと難しいところもありますが、インハウスの通訳者とペアを組んでもらって「その通訳者ができない」ケースでもなんとかリカバリが利くようにしたり。つまりこれって、依頼側にも「普段より余計なコスト(お金・労力・時間など)がかかっている」ということ。
「初回お試し」というのは、その部分のコストを「私の方で引き受けますよ」ということです。
一方で、
『お試しレートなんか提示しちゃうと、今後も低いレートのまま依頼されちゃうんじゃないだろうか、本来のレートに戻すことはできるんだろうか』
なんて心配も出てくると思いますが、それだってちゃんと最初に『お試しですからね』ということを互いの共通認識としてしっかりと共有しておくことで避けることができます。それも、ストレートに『今回だけですから!今回だけですから!』なんて繰り返ししつこくリマインドする以外にももっとスマートな方法もありますから、『どうも最初の登録から案件の照会がなかなか来ない・・・』と感じているようなら、『試食戦略』を賢く取り入れてみてください。