通訳者や翻訳者に『仕入れ』はあるか?
ブログ担当の酒井です。
昨日の記事はタブレットで頑張って書いたんですが、今日は買ってきたばかりのPCで書いてますよ!まだ慣れないところもあるし、バックアップも完璧じゃなかったので多少のショックもありますけど・・・
そう、ノートPC、買ったんです!
我ながらなかなか決断が早かった買い物です。12日、帰宅したらPCが充電できない、13日、渋谷に行く用事があったのでヤマダ電機へ。いちおう旧PCのアダプタやコード周りをチェックしてもらって問題は本体にある可能性が高いと知る。『どれがいいですか?』と訊いて、勧めに従って購入。『じゃあこれで』。セキュリティ含めて9万円ちょっとでした。
9万円、ちょっとした金額ですよね、安い買い物ではないです。でも『買わない』という選択肢はなかった。ほぼ即決。考えてみると、こういう決断が早くできるようになったのも、会社員を辞めて起業家として仕事をするようになってからだな、と思います。
ありていに言えば、今の僕はパソコンがない『不便』とかいうレベルではなく、『収入がなくなる』わけです。暮らしていけない。だからこのパソコン購入は僕にとって『仕入れ』です。
コンサルとかコーチングは物を買って売る仕事ではないので、世間一般では仕入れがないと思われがちです。事実、店舗ビジネスをやっている方に『コーチは仕入れがないからいいよなぁ』と言われたこともあります。でもそれって、正しくありません。僕らコーチにもこんな風に『仕入れ』はあるんです。
そして仕入れはパソコンなど形のあるものだけではありません。マーケティング関連のノウハウやコーチングスキル、カウンセリングスキルはまだまだ誰かに教えてもらう必要がありますし、常に勉強していく必要があります。だからビジネススクール、起業塾、教材、なんてものに毎月数十万円かけているわけです。
これって通訳者、翻訳者でも同じですよね。
報酬を受け取れる通訳や翻訳に対する『直接の仕入れ(会計で直接原価と言います)』は確かにありませんが、通訳学校や翻訳学校にたくさんお金をかけて、つまり自己投資を数十万円、数百万円単位でしてきたんじゃないでしょうか。それらも立派な『仕入れ』です。もちろん、パナガイドやイヤホン、キャリーケース、僕と同じようにパソコンも仕入れです。そういう仕入れ=投資を先にして、それを仕事の提供で回収している、そんな図式のはず。
通訳に理解がないクライアントがたまに『30分なのに(1時間なのに)こんなにかかるの?』と言うことがありますが、きっと皆さんはそんなクライアントに『その30分のためにどれだけお金と時間と労力をかけてきたと思ってるんだ』と言いたいはず・・・ですよね?(^_^)
でもそんなことを言わせてしまうのは、そういう仕入れや自己投資をしっかりと伝えていないから。もちろん、あからさまに『〇〇万円かけてござい』と言いふらすわけにもいかないので、また違う伝え方を工夫する必要はありますが・・・
少なくとも、あなた自身が『これだけのお金と時間と労力をかけてきたんだ』という実感と、自信、そして自覚を持ち、『だから私は30分でもこの報酬を受け取ってもいいんだ』と認めてあげないと、胸を張って望むレートを提示することができなくなってしまいます。
そういう意味で、自己投資にお金や時間をしっかりと使っている通訳者は『自分は少なくともかけた分は回収してもいい』という許可が出せているので、通訳スキルだけじゃなく、プレゼンスも磨かれて信頼感が増していきます。一方、自己投資をろくにしていない通訳者は、通訳スキルの問題ではなく、自信をもってオファーができません。
『通訳レートを上げるにはどうしたらいいんでしょう?』とご質問をいただくことがありますが、その答えの一つが、『まず自己投資の金額を上げましょう』です。
あなたは胸を張って望む通訳レートをクライアントにオファーできるほど、自己投資できてますか?