通訳者はクライアントのハートをつかめ
ブログ担当の酒井です。
通訳に限りませんが、『顧客のハートをつかめ』というのはビジネスの鉄則です。
今日考えて欲しいのは、『じゃあ、通訳者は誰のハートを掴むべきなのか』ということ。特にこれは通訳エージェント経由で仕事を獲得している割合が高い通訳者は意識しておくといいと思います。
通訳エージェントが絡む場合の通訳案件は、お仕事の流れが以下のようになっています。
通訳を必要とする企業等(通訳のユーザー)
(通訳エージェントに問合・発注)
↓
通訳者を手配する通訳エージェント(発注者)
(通訳者データベースから通訳者を選定して依頼)
↓
通訳者
おおむねこんな感じですが、こういう場合、クライアントと言ってもダイレクトの依頼者である通訳エージェントも、その先の通訳を必要とする企業等もエンドクライアントなんて表現で含むことができます。
まあ、理想としては当然、両方のクライアントのハートをつかもう、というのが回答となるんですが、それがマッチしないケースもあります。
通訳ユーザーのエンドクライアントは通訳現場のパフォーマンスを見て通訳者のことを気に入った、でも発注者である通訳エージェント(の通訳コーディネータ)はその通訳者のことを特に何とも思っていない、または「うるさい通訳者だなぁ」なんて印象があって避けたいと思っている・・・
または逆のケースもあります。
エンドクライアントはその通訳者のことを「何とも思わない」または「ちょっとイマイチなんだよなぁ」と感じている、でも通訳エージェント(の通訳コーディネータ)はその通訳者をごひいきにしていて優先的に声をかけている・・・
さて、この場合はどちらのハートを掴んでいる方が『仕事が増える』でしょうか? まあ、後者=通訳エージェントの通訳コーディネータのハートを掴んでいる方が仕事が増えますよね。
これは通訳エージェントを挟まない直接のクライアントの場合でもあてはまることがあって、それなりの規模の企業だと『購買部』といった発注・外注を業務として取りまとめている部署があったりします。そういうケースでも『現場担当者』と『発注担当者』が存在するわけです。これも考え方は同じ。
いろんな通訳者さんとお話をしていると、中には通訳エージェントを『私の通訳料の取り分を搾取している憎らしい敵』みたいに感じてるのかな?なんて通訳者さんがいます。そう思うようになった経緯や経験もあるとは思うのですが・・・
『エンドクライアント(通訳ユーザー)が満足してるんだから、あんたら(通訳エージェント)は余計なこと考えないで私に依頼すればいいのよ!!』なんて態度を取られると、通訳コーディネータは『おめえには発注しねぇ!』と思う・・・こともやっぱりあります。人間だもの。
通訳の『ユーザー』と通訳の『発注者』という目線を持っておくと、ビジネスとしての構造への理解が深まりますし、どこに意識を向けておくべきなのか、なんてことも見えてきます。覚えておくといいですね(^_^)