こだわるべきは通訳スキルじゃあなくて・・・
ブログ担当の酒井です。
通訳スキル・・・ 通訳者にとって重要ですよね。実際、多くの通訳者がご自分の通訳スキルにこだわっています。もっと上手に、もっと磨かなくては・・・
でもそれって、ビジネスの観点からはズレてるかもしれません・・・
そもそも、通訳スキルの向上、高い通訳スキルって、誰のためなんでしょう?
こう訊かれると、『もちろんクライアントのためです。高い通訳スキルがないと正しく通訳ができないし、話し手の意図が伝わらないかもしれない、通訳スキルが低いと何度も言いなおさせてしまったり、確認をお願いしてしまったり、迷惑をかけるじゃないですか。通訳スキルが高ければそんな問題は起きません。だから、通訳スキルを磨くのはクライアントのためです』と答える通訳者も多いでしょう。もしかすると、あなたも?
そしてその答えが間違いだっていうつもりはありません。確かに最終的にはクライアントの利益になるからです。ですが・・・
これまで、あなたはクライアントから『もっと通訳スキルを磨いてください』『高い通訳スキルを求めています』と言われたことは、あるでしょうか? いや、もちろんある方もいると思いますが、割合としてはそんなに多くはないのでは・・・
クライアントは『高い通訳スキル』なんて求めていない?
もしかすると、クライアントは『高い通訳スキル』なんて求めていないのでは・・・ と一瞬でも考えたあなた、素晴らしい。実はそれこそが僕が言いたいことです。クライアントは本質的には『高い通訳スキル』なんて求めていません。クライアントが求めているのは、『通訳を依頼した結果』です。
ちょっと曖昧な表現になってしまいますが、これはクライアントによっていろんな期待する『結果』があるから仕方がない。あるクライアントは商談の成約かもしれないし、カンファレンスの成功かもしれない、参加者の満足かもしれない。お仕事の内容によりますが、いずれにせよ通訳を依頼するからにはなにかの『結果』を期待しているわけです。欲しいのはその結果だけですから、究極的には、あなたの通訳スキルが高かろうが低かろうが、どうでもいいんです。
その結果が期待していた結果とは悪い意味で違っていた場合、つまり、いわゆる『失敗』になった場合に、『もしかして通訳者の通訳スキルが低かったのではないか・・・』なんて、初めて『通訳スキル』が俎上(表層意識)に上がってきたりします。それまでは、『通訳スキル・・・通訳スキル・・・』なんて亡霊のように通訳スキルを求めたりしてないはずなんです。
つまり、『高い通訳スキル』は実はクライアントのためじゃなくて、単に『自分(あなた)のため』になっているかもしれない・・・ なんて意識を持っておくといいかもしれません。
だとすると、本当にこだわるべきは、通訳スキルじゃなくて・・・
『顧客満足』
なんじゃないかなあ、と考える酒井です。
どんなに高い通訳スキルを持っていても、クライアントが満足しなければ宝の持ち腐れ、リピートもなく、意味がありません。通訳スキルが『そこそこ』でも、クライアントを満足させることができれば、リピートしてもらえます。顧客満足を高めるために、通訳スキルの向上以外にどんな方法があるか、そこにフォーカスして考えてみてください。きっと行動も変わってきます。