AI 使ってTOIEC800点?
ブログ担当の酒井です。
AI時代の通訳者、翻訳者の在り方、どんな風に考えてますか?
こんな記事がありましたよ。
「頭ずきずき」も瞬時に通訳 AI使いTOEIC800点
クラウド活用で端末小さく、胸ポケットにつける名札型もhttps://style.nikkei.com/article/DGXMZO22491360Q7A021C1MM0001?channel=DF220420167276
訪日外国人が年間2千万人を超える中、英語などを自動で通訳する機器が登場している。NECは小型の通訳端末を発売し、富士通は病院向けの端末を開発した。人工知能(AI)の進化などで、実力は英語能力テストのTOEIC(990点満点)で「800点レベル」と折り紙つき。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、通訳端末が活躍する機会が増えそうだ。
(中略)
富士通やNECなどが使う翻訳エンジンは総務省所管の情報通信研究機構(NICT)が開発する。6月から翻訳にAIを導入したこともあり、日常会話には問題のない「TOEICで800点以上の水準になっている」(NICT)。
これまでもAI通訳、AI翻訳のトピックはたくさん出ていて、どれも『想像以上に実用的』という評価が付いている印象ですが、TOEICスコアに置き換えて評価されているのは始めて見た気がします。そしてそのスコアが800点レベル、と。「実用的」と書かれるよりもグッとイメージがしやすくなりますね。
それにしてもAI通訳でTOEICスコア800。
多くの会社でTOEICスコアが昇進昇級の条件になるようになってからもうしばらく時間が経っていますが、極端な話、このAI通訳機を導入すれば、昇給を餌に社員にTOEICの勉強を頑張らせなくてもいい、むしろ昇級よりも少ないコストでTOEIC800レベルの英語力を社内に浸透させることができる、と言えるかもしれません。もちろん、そんなにシンプルな話じゃないのはわかっていますけどね。
もし、もしもですよ、僕が就職活動をする立場になって、TOEICスコアを条件にしている企業に面談に行く、そして僕は十分なTOEICスコアを持っていない、としたら、僕はこのAI通訳機を購入してTOEICスコアの不足を補うことも考えます。そんな発想をする就職希望者は他にあまりいないでしょうから目立つでしょうし。
『わたしには御社の求めるTOEICスコアがありません! そして勉強しても今回には間に合いませんでした! なので代替案としてこのAI通訳機を購入しました! 御社が求めるのは “TOIECスコアそのもの” ではなく、英語でコミュニケーションができることかと思いますし、そして僕にはスコアはありませんがこうした問題解決力、発想力があります!!』
・・・なんつって。まあでも、本当にその会社に行きたかったら、これくらいすると思います。
こう考えていくと、『純粋な』英語力はこれまで以上に価値が下がっていくのかもしれません。『英語ができます、TOIECスコアあります』だけでは、『いや、ウチはこれ(通訳機)使ってるし』と言われて言葉に詰まってしまうかも・・・?
これは通訳力だって同じこと。単に『通訳ができます』だけでは・・・
AI時代の通訳者、翻訳者の在り方、真剣に考えておかないと、頑張って身に着けたスキルも結果的に『お金のかかる趣味』だった、なんてことになってしまうかもしれません。