安い通訳料にウンザリ・・・

ブログ担当の酒井です。

通訳レートの上げ方について相談されることがあります。

 

そんな時、僕はいつも『〇〇さんは、いくら欲しいんですか?』と訊きます。 でも、この質問に対しての答えがどうも煮え切らないことも多い。

『そうですねー、もうちょっと多く・・・』とか、『具体的にはどうしてもいくら欲しい、というのはないんですけど・・・』とか、『他の方っていくらくらいもらってるんでしょう・・・』とか、こんな感じの回答が返ってくることが結構あります。

これ、逆の立場で考えてみてほしいんですが、あなたがお金を払う立場だったとしたら、こういう希望に対して、どう感じるでしょうか。 アルバイトを雇う、経理処理を外注する、お手伝いさんを雇う、なんならお子さんやご主人へのお小遣いでもいいんですが・・・

なにか目を瞠るような、圧倒的な成果や結果を出した場合は別ですよ、でも、そうじゃない場合、つまり『期待していたくらいの仕事・パフォーマンス』をしてくれている場合、あなたの方から『もっとお金を払おう』と思うでしょうか? よほどその相手が『辞めてよそに行っちゃうかもしれない、それはまずい!』というのでなければ、雇い手からレートを上げることは考えにくいはずです。

ましてや『どのくらい欲しいのか?』という問いに対して『もうちょっと多く・・・』『他の方くらい・・・』なんて言われようものなら、『いくらやねん』と思うのではないでしょうか。

 

要は、あなたが通訳料アップを望むのであれば、『自分はいくら欲しいのか』を明確にしておくことが不可欠です。 半日案件なら何万円欲しいのか、全日は何万円なのか、そして、月の売上はどれくらい欲しいのか? こうした『お金のこと、売上のこと』に向き合うことが絶対に必要です。いま、その希望レートとの差がいくらであろうが、『〇円欲しい』というのは決めておきましょう。できる、できない、できそう、できなそう、の問題ではなく。

もし、あなたにとって通訳という仕事が『できるだけで嬉しい』『お金は問題じゃない』『無料でも喜んで』『趣味だ』『社会貢献だ』・・・こうしたものであれば、考える必要はないでしょうし、僕がお役に立てることもないでしょうし、僕が書いていることに価値も感じないでしょう。『お金が稼げればいいな』『お小遣いが稼げれば十分』であれば、そんなに苦労する必要なんてありません。これまで通り『自分なりに』努力を重ねていけば、『それなりに』お小遣いや『役に立っている感』は得られるでしょう。これは良し悪しの問題じゃなくて、単に『選択』の問題です。外国を話せる、通訳ができることで可能な社会貢献、素晴らしいと思います。

でも、もしそうじゃなくて、通訳というものを『プロの仕事として』『報酬はしっかり受け取りたい』『しっかりと稼ぎたい』と考えているのであれば、『通訳ができれば満足』なんていう考えからはそろそろ卒業して、『通訳は私のビジネスなんだ』『私が取り組んでいる”事業”なんだ』という意識をしっかりと持ってください。

売上目標も営業計画もない、ましてや全責任を負っている意識の経営者もいない会社、恐ろしくありませんか? 取引したくありませんよね。 でも、そんな状態で運営している通訳者も多い気がします。

法人化までしている方はひと握りかもしれませんが、実際は法人化していないとしても、自分が取り組んでいるのは『事業』であり、運営しているのは『会社』であり、『自分が事業の責任者なんだ』と考えてみると、いろんな不足が見えてくるはず。そしたら、その不足をどうカバーしていくかを考えることができます。

もちろん、『まずは通訳スキルの向上が課題』というステージがあるのは当然です。いかにマーケティングが優れていたとしても、商品価値が低ければクレームに繋がるだけですから。だとしたら、『いつまでに=何年の何月までに』『どのレベルまで(明確な基準が必要です)』通訳スキルの向上を優先するのか、何年の何月から売上目標や営業戦略について練っていくのか、はっきりと計画を立てておきましょう。

『通訳スキルに自信が持てたら』『そのうちに』で留まる方も多いですが、10年経って思ったほどは自信がついてなかったらどうするんだろう、あと5年、自信をつけるために頑張るのかな、なんて風にも思います。

安い通訳料にウンザリする前に、いつまでにどのように通訳レートを上げていくのか、戦略を練ってみてください。

 

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