マグロ釣りから考えた通訳者・翻訳者の顧客満足

ブログ担当の酒井です。

唐突ですが、マグロを釣りに行ってきました。

 

和歌山のすさみ町という港町から船を出してもらって、人生初の船釣りを体験、どこかで見た写真のように、自分もでっかい魚を抱えてパチリ!と撮っちゃうのかな~、なんて考えていたのですが・・・

結果は惨敗。一日中釣り糸を垂らして(嘘です、僕は途中で昼寝してました)ヒットひとつなし。それも全員初心者とはいえ4人で行ったのですが、誰一人、です。

 

そんな僕が釣れない中で途中から何を考えていたかというと・・・

『顧客満足度』でした笑。

「自分がサービス提供側だったら、どうやってお客が一匹も釣れない状況でお客の満足度を上げるだろう」なんて考えてたんです。まあ、ヒマだったんですよね笑。

 

それこそ釣りなんて、「釣れるか、どうか」が満足度を判断するポイントになりがちです。釣れれば満足だし、釣れなければ不満。特に僕みたいな釣りの楽しさや醍醐味すらわかっていない初心者は「釣れる」ことを期待して行ってるわけで、今日の波はどうだから、とか、次回こそは、なんて風にはあまり思えません。

一方で、結果なんて約束できない、なんてこともわかる。どんなプロでもやってみないとわからない、経験の長い船長さんだってドへたくそに必ず釣らせるなんてできることの範疇を超えてるでしょう。

ということは、結果に関わらず(釣れないとしても)「楽しかった」と思ってもらえるような、顧客満足度を高める工夫を随所にしておくべきだな、なんて考えてたんです。

 

結果がコントロールできないというのは通訳や翻訳にも通じる場面があると思います。

通訳はバッチリできた(と思う)けど、商談そのものは決裂してしまった。翻訳に誤訳はないけれど、契約そのものに瑕疵があった。これってどちらもクライアントにしてみると「ネガティブな結果」と言ってもいいと思います。

だけどこんなの通訳者や翻訳者でコントロールできる範疇を超えてますよね。熟練の通訳者、翻訳者だからと言って、商談や契約の結果をコントロールすることはできないわけです。

でも、もしかしたら中には「あの通訳が悪かったんじゃ・・・」とか「翻訳に間違いがあったのでは・・・」なんて「言いがかり(?)」を付けられた経験がある方もいるかもしれません。実際、僕も通訳コーディネータ時代にクライアントからそんなフィードバックを受けたこともあります。

 

それを防ぐひとつの施策が、「関わっている最中に顧客満足度を上げておく工夫」というか、通翻訳者の場合は「関係性を構築しておく、信頼感を醸成しておく」、ということになるのかと思います。

たとえクライアントにとって不本意な結果になったとしても、「あの通訳さんがやってくれてこの結果なんだからしかたないよね~(コミュニケーションの問題じゃないよね~)」と思ってもらえるかどうか、それはひとえに通訳現場での対応(態度・発言・雰囲気など)によるところが大きい。

 

 

そう考えると、通訳現場でのお仕事というのは「通訳をする」ということだけではなく、「顧客満足度を高める行動を取る」と定義することができるかもしれません。すると、できること、やるべきことも少し変わってくるんじゃないでしょうか。

たとえ結果が思わしくなくても、「でも、通訳さんはすごく頑張ってくれてよかったです」と言ってもらえるような、そんな存在になれれば、そのクライアントはきっと次回の商談でもご指名で依頼をくれるんじゃないかなと思います。

 

ちなみに・・・

僕が乗った船の船長さんは、「いい人」でしたが「釣れなかった場合でも顧客満足度を上げる施策」は特になかったようなので笑、僕は今回のツアーで「もう船釣りはやらなくていいかな」と思う結果になりました笑。

でも、楽しかったですよ!

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