パラレルキャリア ~ 焼き鳥屋がうどん屋を始める。なぜなら・・・
ブログ担当の酒井です。
養成講座の受講生さんから「おもしろーい」と思った話を教えてもらったのでシェアを。焼き鳥屋がうどん屋を始める話です。
丸亀製麺、ご存知でしょうか。
(写真はイメージです)
ぜんぜん知らなかったんですが、この丸亀製麺を経営しているのは、株式会社トリドールホールディングス。「トリドール」という名前で推測できるかもしれませんが、元々は「焼鳥居酒屋」からスタートした企業さんのようです。それが、昭和60年。そして、焼き鳥を売っていたそのトリドールが平成12年に開店したのが丸亀製麺。最初の店舗から実に15年が経った頃に新たな業態を始めたと。
これって、どうしてだと思います? なぜ焼き鳥屋さんが、15年経ってうどん屋を始めたんでしょう。その理由。
創業者のお父さんが香川出身で小さなころからうどんに親しんでいた、それをもっと広めたいと考えた(この辺はWikipedia情報)、いろんな説や理由はあると思うんですが、トリドールがうどん屋を始めた理由のひとつには、「焼鳥居酒屋の経営で培ったノウハウを15年分持っている今なら、うどん屋経営もできるんじゃないか」と思ったというのがあるそうです。で、「おもしろーい」と。
この話の何が面白いか。
そもそも冒頭の受講生さんとこのトピックになったのは、「”いまできること”で顧客に価値を提供する」ということを話していたからです。
例えば、「国際会議で同時通訳ができる通訳者になりたい」と通訳学校に通い始めた方。スタート地点の設定ゴールが「国際会議」だと、そこに到達する以前のすべてのステージを「未熟・未完成」と捉えがちです。だってまだ目標を達成していないから。そういう意味では確かに未熟かもしれないし、未完成かもしれませんが・・・それでも、「できること」はあるはずです。
国際会議の通訳者を目指してスタートした時点では、できることはほとんどなかったかもしれない。でも、そこを目指して1年頑張ったなら、その1年で「できること」は増えているはず、必ず成長しているはずです。でも、先ほど書いたように「目標達成前」という思いがあるからか、「実はできること」ですら「自分にはまだできない」と思いこんでしまう方がたくさんいます。もったいないね。
国際会議でブースに入って通訳ができるレベルにならないと、通訳というサービスを提供してはいけないんでしょうか? そんなことはありませんよね。国際会議で同時通訳はできなくても、外国人観光客の案内や、小さな会議の商談通訳など、できることはあるはずです。目指すところは国際会議かもしれませんが、その手前にもたくさん提供できる価値や機会はあるはずです。そしてそれはゴール手前でも増えているはずです。
トリドールが「焼鳥居酒屋の経営で培ったノウハウを15年分持っている今なら、うどん屋経営もできるんじゃないか」と丸亀製麺を始めたというなら、焼鳥居酒屋を開店した時点では、そんなことはできなかっただろうという意味です。もしかしたらもっと早く、5年目や10年目でうどん屋を経営するノウハウは身に着けていたかもしれない。でも、ただ「できるかも」ということに気付かなかったために15年かかったのかも。この辺はわかりませんが・・・
僕のカセツウも実はそうです。通訳翻訳エージェントを辞めてから1年以上経過した時に、ふと「通訳者・翻訳者に提供できる価値があるんでは・・・」と気付いたんです。それまで気付かなかったんです。でも気付いていれば、会社員を辞めてすぐに開始できていたと思います。気付かなかっただけで1年間遅れたんです。
もし、「自分にできることなんて・・・(ないよね)」と思っているなら、断言します。「あります」と。単に気付いていないだけ、見ようとしていないだけです。それを「Hidden Value(隠れた価値)」とか「Stored Value(蓄積された価値)」と呼んだりします。
見逃していたあなたの Hidden Value、いつの間にかできていた Stored Value、ぜひ探してみてください。