翻訳者としてしっかり稼ぎたいなら「推敲」するな!

ブログ担当の酒井です。今日は翻訳者さんに向けたトピック。

翻訳者としてしっかりと稼ぎたいのなら、訳文の推敲をするな! ・・・なんて話です。

 

とはいえ、ホントに一切、全く推敲するな・・・というわけではありません。正直、あなたの気を惹いて読んでほしかったのでちょっと刺激的なタイトルにしました(^^;)

意図するところは『推敲しすぎに注意』ということです。

 

翻訳は通訳と違って、時間が許す限り何度でも見直すことができる(できてしまう)ので、ついつい、訳した文章を何度も何度も見直して推敲したくなります。

痛いほど実感されている人もいるはずですが、そんな風に何度も推敲した結果、報酬(翻訳料)に比べて多大な時間をかけてしまい、時給にするととんでもなく低い額になってしまう・・・なんてことも起きます。

 

翻訳学校に通っている翻訳者さんに伺った話では、その翻訳学校の講師は「最初のうち(勉強しているうち)はとにかく課題の期限ギリギリまで推敲するクセを付けてください」と教えられているそうです。つまり「品質の追求」。これもひとつの教え方だと思いますし、間違いとは言えません。

ただし、僕からするとこれはあくまで「翻訳者側」の視点であって、翻訳を「ビジネス」として捉えた時には、品質だけではなく「効率」も考慮に入れる必要があります。常に時間ギリギリまで見直すこと、推敲することが必ずしも「最適解」とは言えないはずです。

 

そういう意味で、もし僕が講師の立場であれば、翻訳学校という場で学んでいる状態なら自分ひとりでで時間ギリギリまで翻訳を何度も見直したり推敲したりして品質を追求するのではなく、どんどん課題を提出してフィードバックをもらって次につなげる、という「改善サイクルを早く回す」という学び方を勧めます。(事実、カセツウの養成講座でも同じようにお伝えをして、課題についても「30点の状態で出してください」とお伝えしています)

最初のうちに「時間が許す限り翻訳を推敲する」というクセを付けてしまうと、おそらく翻訳学校を修了してプロとして活動し始めるころには、「納期ギリギリまで翻訳を推敲して納期ギリギリに納品する」というスタイルができあがっていることと思います。でも、果たしてそれでいいのか?

 

実際の翻訳では、よほどの例外でなければ、工程として翻訳の後に必ずチェックが入ります。もちろんその工程も含めて納期が設定されているはずですが、翻訳コーディネータの立場で言わせてもらえば、

・いつも納期ギリギリに80点の翻訳を提出する翻訳者

・いつも納期の数日前に70点の翻訳を提出する翻訳者

両者を比べた時には、後者の翻訳者の方が圧倒的に印象が良くなります。もちろん翻訳の品質が「必要十分」であることは絶対条件ですが。

そして、翻訳において「常に」100点、90点、80点をたたき出すことは難しい(そもそも点数も品質も主観的なものですから)ですが、それに比べれば「常に」納期から余裕を持って提出することの方が実行しやすいはずです。客観的に判断もできますから。

 

翻訳をされたことのある方ならよくお分かりだと思いますが、翻訳の品質はかけた時間に比例しません。10時間かければ2時間かけた5倍の品質になるわけではありません。ということは、かけた8時間に本当に価値があるのかどうか・・・?

その8時間に他の翻訳案件をこなすことができるとしたら、どちらの方が翻訳者としてはよさそうでしょうか? その判断はお任せしますが・・・

 

『品質』と『効率』。とても悩ましい課題ですが、翻訳を趣味とか自己実現と割り切っているわけでなければ、『ビジネス』として取り組んでるのであれば、好きなだけ、納得いくだけ時間をかけるようなことを良しとせず、バランスを考えていく必要があるでしょうね。

------------------------------

<リアルタイムでメルマガを受け取りたい方はコチラから>

メールアドレス 必須です


------------------------------