正しいクレーム対策
ブログ担当の酒井です。
「クレーム」って「イヤなもの、怖いもの」・・・ですよね?
当然、できるだけ受けたくないと思いますが、ハッキリ言います。
通訳や翻訳を仕事として続けていくつもりであれば、クレームは「必ず発生します」。起きるかどうかわからないリスクではありません、必ず発生する「必然」です。
中には「そんなことないですよ、これまで10年間やってきましたがクレームなんてひとつも受けたことありません」という超・超レアな方もいるかもしれませんが、もしそういう通訳者・翻訳者がいたからと言って、「じゃあ、私もクレームを受けないように・・・」と目指したり参考にしたりすることもおススメしません。
10年ノークレームという人がいたとしても、それは単なる結果に過ぎないからです。運や相性もありますから、その通訳者さんと同じような行動を取ったとしても、クライアントによってはクレームになる場合も十分にあります。
そう考えると、クレームというものに関して本当に大切なのは、「いかに発生させないか」という施策や工夫を打つのは「あったりまえのこと」として、その上で「発生した場合にどう対応するか」を考えておく、決めておくことだと思います。
その対応次第では、クレームというピンチが逆にチャンスになるケースだってあります。こんな記事を見かけたのでご紹介しておきます。
クレーム客が一転、ロイヤルカスタマーへ。新潟の靴下メーカー「山忠」のコールセンター軍団が”最強”すぎる理由
クレーム客を相手にするコールセンターの仕事は過酷だ。「お客様は神様」という神話が根強い日本で、客は容赦なく無理難題を突きつけてくる。
敬遠されがちなこの業務に、エース級の社員たちを投入する会社がある。新潟の靴下メーカー「山忠」だ。
(中略)
クレーム客が一転、ロイヤルカスタマーへーー。
これは山忠では珍しいことではない。その秘密は、創業60年の老舗を支える自前のコールセンターにある。
https://www.huffingtonpost.jp/2019/01/21/yamachu-interview_a_23648212/
全文はリンク先で読めるのでご興味があればどうぞ。
もちろん靴下という物販と、通訳や翻訳というサービス業では違いはあると思いますが、それでも対応次第ではクレームをきっかけにファンになってくれる、というのは伝わると思います。
僕自身、通訳コーディネータ、翻訳コーディネータとして、クライアントからクレームを受けたこともあれば、通訳者・翻訳者さんにクレームとして伝えたこともたくさんあります。
でも、実はその「クレーム」にもいくつかのパターンがあります。
そもそも、クレームが入った通訳者さんや翻訳者さんの場合、エージェントにとっていちばん手っ取り早いのは「何も言わずに(クレームも入れずに)そのまま通訳者翻訳者のデータベースからその人を削除すること」です。つまり、その依頼を最後に一切の連絡を絶つ、二度と依頼しない、というパターンですね。
もしかするとクライアントに対してはお詫びというか調整の結果で請求をしないとかお値引きをするとかいう対応もしていたかもしれませんが、その数万円と通訳者・翻訳者にクレームを入れてやり取りをする手間(人的コスト)を天秤にかけると、「もういい。そのクレーム訳者には何も言わなくていいから依頼書通りにフィーを払ってもう二度と依頼するな」なんて判断も普通にあり得ます。(もちろんエージェントの方針や考え方次第でいろんな可能性があります)
こういう裏側を知っておくと、クレームが入ったということは、エージェント側も「今後も依頼したいからスルーできない」と考えている・・・のかもしれない、なんて捉え方もできますね。
これは「おためごかし」とか「慰め」ではなくて、実際にそう思っていたからです。
ということで、「クレームが発生したらどうしよう・・・」といたずらに怯えるのではなくて、「クレームが発生した時はこんな風に対応しよう」なんて普段から心がけておくことをおススメします。
実際に発生してしまった時に「違い」が出てきますよ。