あなたは大丈夫?? ペットボトルの水でNGをもらった通訳者Sさん
Sさん、同時通訳のスキルの高い通訳者さんでした。専門性も十分なレベルで持っていると言ってよい方です。レートは、、、まあ、お安くはないですが許容範囲と言ってもOK。
そんなSさんですが・・・正直なところ、私がいたエージェントではほとんど依頼することがありませんでした。スキルには問題ないのに。
どこに不安があったかというと、現場でのお客様への対応でした。
海外生活が長く、お若いころからずっと通訳を仕事とされており、日本で頑張ってきた人たちと比べれば年齢の割に経験も積んでいる方でした。そのせいなのか、無邪気といえばいいのか、現場で『えっ!?』と思ってしまうような対応をすることもしばしば、、、ひどい時は、イベント会場でエンドクライアントのゲストと言い合いになってしまう、なんてこともありました(^_^;)
そんなSさんの”事件”で印象に残っているのが、ペットボトルの水でNG事件です。
とはいってもそんなに大げさな話ではないのですが、、、
業務内容は、歴史ある(おカタイ)メーカーさんの社内会議でした。内容的にはよくあるもので、体制としても特別タフな業務ではなかったはずです。スキル的にもまず問題なく対応できるはずの案件だったのですが、業務終了後、先方の担当者にフォローの電話を入れたところ、、、
担 『酒井さん、Sさんですが、今後はウチからは外していただけますか?』とのこと。
酒 『えっ?どうしたんですか?何かご迷惑をおかけしてしまったんでしょうか』
担 『うーん、ご迷惑というか、現場の役員が少し、、、』
酒 『役員さんに?何があったんでしょうか?通訳が拙かったですか?』
担 『いえ、スキルは特に問題なかったと思います』
酒 『では、なぜ?』
担 『私は直接見てないのですが、、、どうも、現場で役員に向かって「水ちょうだい」と注文?してしまったみたいで、、、』
…(;゚Д゚)
酒 『そ、そうですか、、、たいへん申し訳ありませんでした。本人には厳しく言っておきます、、、』
と、いうことで、Sさんはこの企業からの依頼には出せなくなってしまいました。
本人にそれとなく確認したところ、『そんな偉そうに言ってない、現場にたくさんあったペットボトルの水を、もしかしていただけるものですか?くらいに訊いただけです』とのこと。平行線ですね。
結局、現場にいない私たちにはわからないんです。どのような状況で、Sさんがどのような言い方をして、役員さんがどのように感じられたか、というのは。ただ、『クライアントは “失礼な通訳者だ” という印象を受けたこと、Sさんには今後お願いしたくないというコメントが出てきたこと』 は事実です。そちらに対して、クライアントに 『いえいえ、そんなはずは、、、普段から礼儀正しい方ですよ、何かの誤解ですよ』 なんて釈明しても、まったく意味はないのです。お客様はSさんじゃなくても困らないんですから。結局、この企業からの依頼についてはSさんに依頼しない、ということが社内でも決定されました。
ペットボトルの水ひとつでNGになる、なんて、運が悪いかもしれません。けれど、きっと避けられるリスクのはずじゃないか、とも思います。
実は水については思うところがあって、コーディネータが現場に入るようなイベントの場合、ペットボトルの水やチョコレート、飴などを差し入れるようにするのですが、たまに「水は用意されていて当然」とばかりの通訳者さんがいらっしゃいます。こちらとしても水を用意するくらいは構わないのですし、そうしたいと思っていますが、入り時間の兼ね合いや周りに何もないときなど、用意できないこともあります。そんな時、「水ないの?」と言われてしまうと、「いや、そちらこそ水、持ってないんですか?」という気持ちも(^_^;)
お弁当やお水、お菓子などはあくまで「厚意」「あればラッキー」と思って、基本的にはご自身で用意することをお勧めします。