「商談メモ」って何ですか?
ブログ担当の酒井です。いただいた質問にお答えします。
「商談メモ」って何ですか?
以下、いただいたご質問です。
いつもメルマガを読ませていただき、大変勉強になっております。質問ですが、個別商談会の通訳を初めてすることになり、案件依頼のエージェントからのメールに「商談メモの作成をお願いします」と書いてありました。「商談メモ」というのが何を指すのかがはっきりわかりません。エージェントに聞こうとは思っているのですが、通訳現場で「商談メモ」と言ったらコレ!というものがあるのなら、教えてください。いつもありがとうございます。
まず、、、このご質問、いただいていたのが少し前になります。なので、きっとこの質問者さんはすでに通訳エージェントに「商談メモって何でしょう?」と質問されて、お答えをいただいていると思うのですが・・・遅くなってすみません。
まあ、どのみち、、、僕には「商談メモ」がどのようなものか、わからないんですけどね。
なので、このご質問への回答は「通訳エージェントに訊きましょう!」となるので、結果としては同じことですね(^^;) それでとても正しい対応だと思います!
ただ、それだけだとここで取り上げる意味もないので、今日はちょっと「わからないことが出てきたときにどう対応するべきか?」について書いてみようと思います。
こんなこと訊いたら「わかってない通訳者」と思われるんじゃないか・・・
こんな不安が付きまとっているんだろうな、と思います。どうですか? 特に、まだ通訳として活動し始めて日が浅い、実績も多くない、そんな状態のいわゆる「駆け出し通訳者」にこの傾向は強い気がします。
もう何年も通訳者として活動している、いろんな通訳現場に出ている、通訳実績もたくさんある、そんな通訳者は、自分がわからないことが出てきたときに、「これまでやってきたのに聞いたことないなぁ・・・」と、ある程度の経験と自信があるだけに、意外に素直に通訳エージェント(というか、依頼主)に確認するものです。
逆に、これらがない駆け出し通訳者は「知らないのはわたしだけなんじゃないか、こんなこと訊いたら “そんなことも知らないの?この通訳者、大丈夫かなぁ…” と思われちゃうんじゃないか」と不安になってしまい、なかなか訊けない…という。
でも冷静に(客観的に)考えてみると、これって矛盾がありますよね。だって駆け出しだからこそ、わからないこと、知らないことがあって当然だし、だからこそ謙虚になって素直に相手に「すみません、、、これってどういう意味なんでしょう…」と訊いたらいいのに躊躇いが出る。
もちろん、こうした気持ちは理解できます。駆け出しだろうとなんだろうとお金をもらってプロとしてやっているわけですから、「新人なので・・・」という言い訳は通用しない、と理解しているからこそ、こうした躊躇いが出るんでしょう。ある種、プロ意識が高いからこそ、とも言えます。
一方で、訊くべきこと(わからないこと)を訊かずに、なんとなくスルーして問題にならなかったとしても、その姿勢だと、いずれボロが出てもっと大きな問題になり得る、ということも理解しておくと良いでしょう。
通訳の仕事に限りませんが、仕事をする限り、いつか「わからないこと」は出てきます。10年通訳をやって、わからなかったことが一度も出ないなんて考えられませんよね。そして、綱渡りで10年間落ちずに歩き続けるなんて不可能です。
だとしたら、始めから「わからないことは訊く」と割り切って、素直に尋ねる姿勢を身に着ける方がよほど安全だし確実だし、そして「信頼」されるということになります。
「通訳コーディネータに質問をしない、問い合わせをしない」ことで「加点」されることはありません。「この通訳者、質問が来ないな、いい通訳者だな」とは思いません。「なんとも思わない」だけです。
そして、もし、その状態でわかってなかったことが後で発覚したら・・・加点がない状態から「減点」されてしまいます。「わからないなら訊けよ!」ってやつですね。
では、通訳コーディネータに質問したり問い合わせをしたらどうなるか?
もちろん限度があるというか、通訳学校で習うようなことを訊いてしまうと「大丈夫かよ・・・」と多少の減点の可能性はありますが、きっとあなたが考えているほど通訳コーディネータは気にしてません。そして、そこはそれ、訊き方次第でなんとでもなりますから。この場合に大切なのは、謙虚であること、かなと思います。
例えばこんな訊き方がありますよ、といくつか。
・謙虚に、素直に訊く
「勉強不足ですみません、商談メモとはどういうものでしょうか?」
そのままですね。素直に訊きましょう。
・定義を確認する
「商談メモとのことですが、わたしが理解(イメージ)している成果物とお求めの成果物が一致しているか、念のためご確認いただきたいのですが・・・」
この場合のポイントは、「自分がイメージしているもの」をちゃんと説明すること。
・通訳エージェントとの共通のゴール(目的)を再確認して質問する
「しっかりとお役に立つ成果物を提出したいと思っていますので確認させてください」
まあこんな「訊き方」も表面的な話に過ぎませんから、大切なのは「謙虚に、素直に」がいちばんかなと思います。