クライアントの軽重

ブログ担当の酒井です。

クライアントの軽重って、あると思いますか? つけるべきだと思いますか?

これはいろんな考え方があると思います。『職に貴賎なし』なんていいますが、そう考えると『通訳案件やクライアントに軽重なし』と言えるかもしれません。でもこれ、『通訳が好きで、通訳さえできるなら満足、嬉しい』ならいいんですが、通訳を”ちゃんと”ビジネスとして、事業として扱うつもりがあるなら、考えモノです。

 

クライアントにはちゃんと軽重をつけましょう、しっかり区別しましょう

先日、養成講座の受講生さんがこんなことを話していました。

『確定申告のために売上を計算したら、どのクライアントさんからいくらくらい頂いているかがわかって面白かったです』

そう、これってとても重要です。クライアントの軽重って、何を基準につけたらいいか。もちろん、売上です。そのクライアントの売上じゃないですよ、そのクライアントが『あなたにもたらしてくれている売上』です。

例えば、A社。1年間で50件の照会、5件の依頼、合計売上額は20万円。一方、B社。1年間で15件の照会、10件の依頼、売上は60万円。A社とB社、あなたにとってどちらのクライアントが重要度が高いでしょうか。

このケースだと、A社に対して『頻繁に照会をしてくれるクライアント』という印象を持ちますから、ともすれば『A社の方が良いクライアント』という錯覚に陥ることがあります。でも実は、売上額を整理してみると、B社の方が大きい。だったら文句なくB社の方があなたにとって重要なクライアントだと認識するべきです。

 

たまにこんな相談を受けることがあります。

『ある通訳エージェントのある通訳コーディネータさんとどうも相性が悪いようで… お問い合わせをいただいても成約に繋がらないし、なんだかやり取りばかりが多いんです。どうしたらいいんでしょう?』

何人かからこのような相談を受けましたが、僕が返すのはいつも同じです。『その通訳エージェントからいくら受注してるんですか?』という質問です。

返ってくる答えは様々ですが、ほとんどの場合、 年に1回か2回、決まった仕事だけをいただいているとか、売上も数万円とか、そんな回答が返ってきます。そして次の質問は、『その通訳エージェントとの付き合いを切ったら、あなたの通訳ビジネスにどのくらいのネガティブなインパクトがありますか?』です。その答えは… 『んー、、、まあ、そんなにないかもしれません』

『だったら、切っちゃえばいいじゃないですか?』

これが僕からの答えです。もちろん、特別な理由がなければ『御社とのお付き合いは控えさせていただきます』なんてこちらから積極的に付き合いを切る必要はありませんが、少なくとも『この通訳エージェントとの付き合い方、どうしようかな…』と悩む時間はもったいない、ということには気付けると思います。そんなところに悩む時間があれば、他の『もっと売上をもたらしてくれそうなクライアント候補』へのアプローチに時間を使うことをよっぽどおススメします。

 

最後にどんでん返すと・・・

『売上でクライアントに軽重をつけましょう』といったトーンの本記事ですが、最後にあえてどんでん返しておきますと・・・

売上に繋がらないクライアント・見込み客=どうでもいい、ではありません。お伝えしたいことは『戦略を使い分ける』ということです。上の例で挙げた、照会件数は多いけれども売上に繋がりにくいA社、照会件数は多くないけれど売上に繋がっているB社を比較して、『A社は切ってOK』ということではありません。それぞれ異なる課題があり、異なる戦略を取りましょう、ということです。もっとも、『取るべき戦略の幅』があれば、という前提ではありますけど・・・

そしてさらに言えば、まだ駆け出しの、売上も仕事の件数もそんなに多くない状態なら、クライアントに軽重なんて付けてる場合じゃありません。どんなに少なくても、どんなに売上額が小さくても、選べる立場じゃないでしょってこと。どんな案件、どんなクライアントだろうと、喰らいついていくべきステージというのはあります。軽重をつけるには、軽重をつけられるほどの取引先が必要だってことです。そこに到達していないのにつけられるわけがありません。

 

そして、もうひとつ。

あなたがクライアントに軽重をつけているように、あなたもクライアントから軽重をつけられているんだということも、しっかりと認識しておいてください。あなたはクライアントに重く用いられるために、どんな工夫や努力(戦略と言ってもいいですね)をしていますか?

 

------------------------------

<リアルタイムでメルマガを受け取りたい方はコチラから>

メールアドレス 必須です


------------------------------