『翻訳者ってまだ稼げますか?』への回答
先日の記事では「通訳者って、まだ稼げますか?」という問いについて書きました。
今日は「じゃあ、翻訳者は?」について書いてみます。
「翻訳者って、まだ稼げる可能性はあるんでしょうか?」
まあ大筋としては通訳者さんと同じで「どれくらい稼ぎたいかによる」ということになっちゃいますが、率直に個人的な考えを言うなら…
「翻訳者は通訳者以上に厳しい状況」 です。私見ですけど。
いちばんの理由は、翻訳はテキストベースだから。通訳はその場で出てくるいろんな情報を即時性高く訳さないといけませんが、翻訳は対象とする原文そのものが、ある程度の時間をかけて精査・整理された状態で作られているので(例外多くあり笑)、AI等にとっても処理がしやすいはず。
そもそも翻訳という仕事はAIがこれほど普及する以前からMTPEの影響を受けてきました。翻訳の問い合わせが減って、MTPEの問い合わせが増えてきた、MTPEばかりになった、なんて声は業界にいるなら感じている、聞いているはずです。そんな状況だったところに、さらにAIが追い打ちをかけてきた、そんなイメージです。
たとえば、AIエージェントを使えば以下のようなプロセスも可能です。
- 原文を翻訳する
- 翻訳文をバックトランスレーションする(原文言語に翻訳し直す)
- 原文と2.のバックトランスレーションの訳文を比較して意味が変わっている点をチェックする
- 原文と意味が変わっている箇所があれば該当箇所の翻訳を修正する
プログラムやエンジニアでもない一般人がひとりでこんな仕組みを作れるなんて、数年前は想像もつかなかったはずですが、いまはできてしまう。
どうやって? ほんとに? と思うかもしれないので、それこそ chatgpt に実装までのプロセスを説明してもらいました。「よくわかんないな…」って方は読み飛ばしてOKです。
(ここから)
結論から言うと、はい、AIエージェントを使えばその一連のプロセスは自動化できます。
しかも「かなり実用レベル」までは、すでに到達しています。
ただし、完全放置でプロ品質になるか? という点では注意点もあります。
順番に整理しますね。
① 原文を翻訳する
→ 余裕で可能
これは言うまでもなく、現在のLLM(GPT系、Claude系、Gemini系など)が最も得意な領域の一つです。
ポイントは
-
用途(公開用/社内用/法務/マーケ)
-
トーン(直訳/意訳/自然さ重視)
を最初にプロンプトで固定すること。
② 翻訳文をバックトランスレーションする
→ 問題なく可能
しかも重要なのは
-
①と②で“別人格(役割)”を与えること
例:
-
翻訳担当エージェント
-
バックトランスレーション専用エージェント(「原文を見てはいけない」設定)
これをやると、人間がやるバックトランスレーションにかなり近づきます。
③ 原文とバックトランスレーションを比較し、意味変化をチェック
→ ここがAIエージェント化のキモ。可能だが設計が重要
単純比較ではなく、以下の観点でチェックさせると精度が上がります。
-
意味の欠落(省略・情報落ち)
-
意味の追加(原文にない解釈)
-
ニュアンスのズレ(強さ・弱さ・断定度)
-
主語・視点・責任の変化
-
時制・条件・因果関係の変化
この工程を
「品質管理(QA)エージェント」
として独立させるのがコツです。
④ 意味が変わっている箇所があれば翻訳を修正
→ 半自動がベスト(全自動も可能だが非推奨)
ここは2パターンあります。
パターンA:全自動修正
-
QAエージェントが
-
問題箇所を指摘
-
修正案を提示
-
翻訳文を更新
-
→ スピード重視案件向き
→ 「8割正解を高速で量産」したい時に有効
パターンB:人間最終判断(おすすめ)
-
AIが
-
問題箇所
-
なぜ問題か
-
修正候補(複数)
を提示
-
-
人が最終判断
→ プロ翻訳の現実運用に最適
全体をまとめると(AIエージェント構成)
🧠 エージェント1:翻訳者
原文 → 翻訳文
🧠 エージェント2:バックトランスレーター
翻訳文 → 原文言語(原文は見ない)
🧠 エージェント3:QA・レビュアー
原文 vs バックトランスレーション
意味変化を検出・分類
🧠 エージェント4:修正提案担当
問題箇所に対する修正案を提示
※ 必要に応じて
🧠 エージェント5:用語統一・スタイル管理
も追加可能
(ここまで)
以上です。いかがですか?
僕が考えていた以上に具体的で、かつ、僕が気づいてなかったリスクも見越した提案をしてくれてます。
さらに、上には貼りませんでしたが「頼んでもないのに」chatgpt が出力してくれた「続き」があります。下に貼ります。
(ここから)
では「人間の翻訳者はいらなくなるのか?」
ここが重要なポイントですが、
-
定型文・技術文・社内資料
→ ほぼ自動化可能 -
公開物・マーケ・ブランド文脈・政治性のある文書
→ 最終判断は人間がやった方が安全
つまり
AIエージェントは「翻訳者の仕事を奪う」というより
「翻訳者の“面倒で神経を使う工程”を丸ごと肩代わりする」
という位置づけが現実的です。
通訳・翻訳業界的に見た本音の評価
この仕組みを
-
自分で組める翻訳者
-
クライアントに説明できる翻訳者
は、
「AI時代でも価値が残る側」にかなり近づきます。
むしろ
「AI翻訳+QA設計+最終責任を持てる人」
として、新しい役割を取れる可能性も高い。
もしよければ次にできることとして:
-
実際に使える プロンプト例(4エージェント分)
-
ChatGPT / Claude / Gemini どれ向きか
-
ノーコード(Zapier / Make)での実装可否
-
翻訳者向けにどう商品化できるか
どこまで深掘りします?
(ここまで)
すごいよね、翻訳者が生き残るためのアドバイスまでくれました。なんだか翻訳者を慮ってくれてるんじゃないの?なんて錯覚も起こしそうです笑
いずれにせよ、AIをあまり触ってなくても、AIエージェントがよくわからなくても、なんとなく「そっか、できるのか…」という雰囲気は掴めるんじゃないでしょうか。
その上で、こうした主張を目に/耳にすることがあります。
「AIにはできない、人間にしかできない翻訳がある」
「まだまだ人による翻訳は求められる」
もちろん、それ自体は否定しません。というか「そんなのあたりまえ」です。そんなあたりまえのことを声高に言われても… というのが率直な感想。
そしてこの主張は翻訳だけじゃなく、通訳にだって、それ以外のさまざまな仕事にだって通じる話です。
「AIにはできない、人間にしかできない“通訳”がある」
「AIにはできない、人間にしかできない“コーチング”がある」
「AIにはできない、人間にしか描けない“漫画”がある」
「AIにはできない、人間にしかできない“仕事”がある」
…そりゃそうですよね。…だから?(笑)
大切なのはその主張が正しいとか間違ってるとかじゃなくて(というか、それならもちろん正しいと思う)、「どうすればいいのか」を考えることです。
ちょっと長くなったので、今日はここまで。この続きはまたあらためて書きます。



