【プロ通訳者の条件】 10回に1度120点の通訳者 vs 10回中10回60点の通訳者
通訳エージェントのコーディネータとして10年勤めた後、コーチとして独立して「通訳者になりたい!」「それも稼げる通訳者、売れっ子通訳者に!」「ずっと通訳をやっていきたい」「でも通訳の仕事が来ない・・・」「スキルはあると思うのに何が足りないの?」「長くやっていればそのうち報われるはず」と思っている方を、通訳スクールも通訳エージェントも教えない、メンタルとマーケティングの観点からサポートしています。
このブログではその経験を活かして通訳エージェントの本音、通訳コーディネータの本音をベースに、「稼げる通訳者になりたい!」あなたの役に立つヒントをお届けしています。
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今日のタイトルは「【プロ通訳者の条件】 10回に1度120点の通訳者 vs 10回中10回60点の通訳者」です。
今日も日本通訳フォーラムで印象に残った講演から。
話されたのは、神田外語大学専任講師かつ放送通訳者として活躍されている柴原智幸さんです。日本通訳フォーラムでは「何を引いて何を足すか~積極的にコミュニケーションに介入する放送通訳とは」というタイトルで聴講者に実際に「時差通訳」を疑似体験してもらうという切り口で大人気でした。ユーモアあふれる語り口で笑いながら勉強になりました(^_^)
酒井は会議通訳がほとんどの仕事を占めていた通訳エージェントで働いていたので、柴原さんが活躍されている「放送通訳」の事情についてはほとんど知らないのです。だからこそいろんなお話を伺いたいと思い、こちらの講演を選んで参加しました。
今回の講演は「放送通訳者の仕事ぶり」を中心にお話いただいたので、酒井が訊こうと思っていた「放送通訳での仕事の取り方」は伺えなかったのですが、またお話をさせていただく機会を得られたのでそれはお楽しみに。
で、今回の講演の中でもっとも印象に残った言葉が今日のテーマです。
柴原さんがおっしゃっていたのは、こんな言葉でした(若干表現は変わってしまってると思いますがご容赦ください)。
『たまに最大出力を叩き出すよりも、”最低出力を割らないこと、維持すること”がプロとして必要なこと』
うーん、正しい!
そう、コーディネータとしても、たまにとんでもなく高い評価を得る、けどクレームが出てしまうリスクがある通訳者さんは怖くて使えません。ギャンブルみたいなものですから(^_^;) それよりも、「クレームが出ない通訳者」さんの方がお願いしやすいのが本音です。
通訳者さんも人間ですから、日によってパフォーマンスには差が出るとは思います。「トランス」に入ったかのようにとんでもない万能感を得られる通訳ができる日もあるでしょう。それは通訳者としてはとても幸せだし、「なんでもできそう」という気分になるし、とても気持ちよいと思います。
確かに通訳サービスを受ける方からしても、「通訳者の高いパフォーマンスのおかげで良い会議(イベント)になった!」というのはありがたい話ですね。
ただし、そんな「最高のデキ」も、通訳エージェントにとっては「一回」に過ぎません。他の会議、他のイベントと同じ「一回」なんです。そして、そこで最大出力120点を出してくれたとしても、次の「一回(同じ一回です)」で「30点」を出されたりしたら、、、やっぱり依頼はできません。「10回依頼したら10回、合格点」を出してもらわないと困るんです。
趣味や練習でやっている限りは120点を目指すのも良いと思いますが、ビジネス、プロとして仕事を引き受けるからには、「最低ラインを割らない努力や工夫」を心がけてくださいね。