言語と分野

ブログ担当の酒井です。

NHK『あさイチ』を見てたら、フランス語通訳の人見有羽子さんが出られてました。

フランスでも屈指のショコラティエ、ジャン=ポール・エヴァンさんの通訳で、当然、通訳の内容はチョコレートやスイーツに関するもの。

僕自身は別にチョコレートに特別な興味があるわけでもないのですが(^^;)、やっぱり通訳者さんが出ていると「誰かな?知ってる人が出てたりして?」なんてつい気になってしまいます。

人見さんのことは存じ上げませんでしたので、ちょっと検索してみました。完全に職業病ですね笑。すると、人見さんのブログを発見。(ちなみに僕の中ではブログをやっているだけで“いいじゃん!”と思ったりします笑)

 

いくつか記事を拝見してみると、こんな一文が。

先週からスイーツのお仕事が続いています。

ほほう、、、興味深い。

 

何が興味深いかというと、今日のテーマの言語と分野の組み合わせについて、です。

僕は11年間、通訳翻訳エージェントにコーディネータとして勤務しましたが、「スイーツの通訳」や「スイーツの翻訳」なんてものは、ほぼ記憶にありません。

そういう経験もあるので、通訳者さんや翻訳者さんに「どんな分野を専門分野にすればいいんでしょうか」なんて相談をいただいた時も、「スイーツ」とか「料理」なんて答えは出てきませんし、なんならお相手から「スイーツとか料理が好きなのでそっちの分野って通訳の仕事あるでしょうか?」と訊かれたとしても、「うーん、あんまりイメージ湧かないですね」なんて答えになるかと思います。

でも一方で、人見さんのところには「スイーツの通訳」が続いている。これは、どう捉えるべきか・・・?

少し考えてみて、「あ、もしかして・・・」と思えたのが、「言語と分野」です。より正確には「扱う言語の国の文化と分野」というべきか。

 

「フランスの文化」といっても人によっていろんなイメージを持つと思いますが、スイーツも含む「フランス料理」はその文化を代表するもののひとつでしょう。

そうした「文化を代表するもの」を取り扱う場合は、「その国の言語」でやり取りをした方が権威性というか雰囲気が保たれます。

もしかしたらジャン=ポール・エヴァンさんも英語をお話になるのかもしれませんが、それでも「フランスを代表するショコラティエ!」として登場したからには、英語ではなく「フランス語」で話してほしいところですよね。だから、もしかしたら英語の通訳者の方が手配をしやすいかもしれないけれど、あえてフランス語の通訳者が手配される、と。

ということは、ことフランス語ということであれば、料理やスイーツを得意分野として押し出すのはちゃんとビジネスとしての可能性があるのかもしれないな、と感じました。

今回はフランス語の話でしたが、イタリア語の通訳であれば例えばファッションやこれまた料理、僕が最近行ってきたスリランカであれば紅茶や観光など、ご自分の取り扱う言語によって、その国の文化から得意分野を設定していく、というのもアリかもしれません。

 

僕が勤めていた通訳翻訳エージェントでは、取り扱う案件の9割以上が英語の通訳翻訳でした。さらに言えば、エンタメ系ではなく企業での商談などビジネス通訳翻訳がメインでしたから、料理やスイーツの案件がなくても当然と言えば当然。

ただ、この経験だけを頼りに「料理やスイーツの通訳翻訳ニーズはない!」なんてひとからげに考えてしまうのは、もしかするととんでもない間違いかも、と思わされました。

 

 

P.S. 今日のトピックは通訳者さんや翻訳者さん本人にとっては「あたりまえ」の話かもしれないな、とも思いましたが、どちらかといえば上に書いたような僕自身の気付き=戒め(?)があったのであえて書いてみました。

P.P.S. 人見さんのブログ『B面でかせごう!』のリンクを貼っておきます(^_^)

https://blog.goo.ne.jp/enfant-aile

 

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