直接契約のメリットとデメリット
ブログ担当の酒井です。
通訳エージェント経由ではなく、直取引の依頼は請けていますか?
これは僕自身の経験ですが、通訳エージェントに勤務していた頃は、フリーランスの通訳者さんのお仕事のほとんどは通訳エージェントからのものだと思っていました。エンドクライアントと直接の取引をしている通訳者さんはごく少数なんだと。
もちろん通訳エージェント経由のお仕事がその収入をほとんどを占めている状況の通訳者さんもいるんですが、通訳エージェントを辞めてカセツウとして活動を始めてからわかったことのひとつに、通訳者としてしっかり稼いでいる、売上を上げている方々には「直クライアントを獲得している通訳者が多い」というのがあります。
考えてみるとあたりまえの話で、通訳エージェントに勤めていた僕が接していたのは「通訳エージェントに登録している通訳者」なわけですから、情報って偏っていたんですよね。
それに、通訳エージェントに登録している通訳者さんだって、わざわざコーディネータに「わたし、直取引を多くしています」と話すような理由や機会もないですから、僕が知らなくて当然です。
ところがカセツウは通訳エージェントと通訳者の中間・中立のような感じですから、お話をする機会があった通訳者さんたちも、直取引があるとかないとか、多いとか少ないとか、別に隠さずに教えてくれます。そういう話を聞いていくと上に書いたような状況が見えてきました。
直取引のクライアントは、通訳エージェント経由のお仕事に比べてメリットもデメリットもあります。
メリットとしてまず一番は通訳レートの高さかと思います。通訳エージェントに入っていた分がそのまま通訳者に入るというわけでもないでしょうが、一般的には直取引の方が通訳レートは高くなります。
かといって、通訳エージェントだって単に何もしないでお金の中抜きをしているわけではありません。ちゃんと役割を果たしているわけですから、その通訳エージェントが引き受けてくれていた役割を自分自身でしなくてはなりません。
例えば資料手配です。会議の資料などは毎回通訳コーディネータがクライアント担当者にリクエストして手配しています。中にはなかなか資料を出してくれない(または出せない)担当者もいますから、そんな時は何度も何度も言い方を変えながら催促をしてやっと手に入る、というケースもあります。それをすべて自分でやる必要があります。これはきっと想像されている以上に手間がかかりますし、担当者の機嫌を損ねないように気を遣う仕事です。
またお金の話になると、支払いリスクも通訳エージェントが引き受けています。
万が一エンドクライアントが通訳料を支払わないなんてケースがあったとしても、通訳エージェントが間に入っていれば契約はあくまで通訳エージェントとのものですから、あなたは自分の通訳料はしっかりと受け取ることができます(これも理屈の上では、という話ですが)。
中にはこうしたメリットやデメリットを考慮した上で、「通訳レートは直取引に比べて低いのはわかっているけど、その分、自分は通訳に集中できる」と、あえて通訳エージェントとの取引に絞っている通訳者さんもいます。
いずれにしても単に「そうなっているから」ではなく、自分のタイプや得意不得意を見極めながら戦略的にクライアントポートフォリオを作っていけるといいですよね。
あなたにとって理想の割合はどんな感じでしょうか?考えてみて下さい。