「そのメモ、ちょうだい」問題

ブログ担当の酒井です。

商談で通訳をしていて、終わった時にクライアントから「そのメモ、ください」と言われた経験はありませんか?

 

案外いろんな通訳者さんからこうした話を聞きます。

そして、多くの方が「渡すべきなのかどうか迷うんですよね・・・」とコメントされてます。

まあ、現実的、というか、現場の空気的にもその場でクライアントさんから「メモ取ってましたよね、それ、いただけますか?」と言われて「お断りします」とは言いにくいもの。多少のためらいを感じつつも、お渡ししている・・・というのが現場で起きていることのようです。

 

さて、これって拒否できるんでしょうか?

 

そもそも、なぜ拒否したいのか、ためらいの理由は何なのか? というところを考えてみると、いちばん大きな理由は「メモの内容に責任が持てない」という点じゃないでしょうか。

当然ですが、通訳中のメモは通訳者が「自分のために」取っているものです。誰かに「取りなさい」といわれたものでもなく、議事録として残しているものでもありません。

「自分が通訳をする際に使えればそれでOK」というつもりで書いているので、それを後から他人に見られてヘンに質問されたり確認されたりしても責任が持てるわけもないですね。二次使用される懸念、と表現してもいいかも。

それが「渡していいのかな・・・」に繋がっているのかなと感じます。

 

上に書いたように、現場で「メモ、いただけませんか?」と言われて「お断りします」とは言いにくいでしょうから、結果的にはお渡しすることになるとは思うのですが、いずれにせよ「そう言われたら、どう返すか」をあらかじめ考えておくといいでしょう。

 

「渡す」ことを前提に考えた場合でも、そのメモはどういうものかをちゃんと伝えよう、などですね。

「このメモはあくまで通訳用に書いたものなので、内容が正確とか網羅しているとかではありませんし、後ほどこれをベースに議事録を起こされたり内容確認をいただいても責任は持てないのですが・・・それでもよければ」とか?

 

「渡さない」と決めたい場合でも、あまり空気を悪くしない言い方を考えておくといいですね。

「申し訳ありません、こうしたメモはお渡しせずに自分で処分するようにエージェントから言い使っておりますのでご容赦ください」とか? (まあ実際はこんなケースで通訳エージェントからそんな指示は出てないと思いますが、こういう時に泥をかぶってもらうのも通訳エージェント経由で仕事を請けるメリットのひとつかなと笑)

 

後はそもそもの対策?として、通訳者のメモ取りは速記タイプで書くことがほとんどでしょうから、「解読できないレベルの書き方」をしちゃうというのも有効な方法かもしれません。「メモ、ちょうだい」と言われても「読めませんよ・・・?」と見せたら納得してくれるでしょう笑。

 

クライアントとの関係性(力関係も含む)や状況、内容にもよるので「これが正解」はやっぱりないのですが、この件に限らず大事なことは「こういうケースが起きたら、自分はどう対応しよう」ということをシミュレーションしておくことです。シミュレーションしておくだけでも、いざそれが起きた際のご自身の対応は案外違ってくるものです。

あわあわっと対応して、数時間後に「あれで良かったのかなぁ・・・こうしておけば良かったなぁ・・・」なんて何度も思い返してしまうのは、なかなか・・・お腹の辺りがググっと重くなりますからね(^^;)

 

 

P.S.  とはいえ、「大統領」に指示されればどう考えても拒否は難しそうですね( ̄▽ ̄;)

米ロ会談内容共有させず トランプ氏、通訳に指示か

米紙ワシントン・ポストは12日、トランプ米大統領が2017年7月にドイツ北部ハンブルクでロシアのプーチン大統領と会談した後に、通訳が書き留めたメモを取り上げた上で、協議内容を米高官と共有しないよう通訳に指示していたと報じた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39981630T10C19A1000000/

 

 

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