『なんでもこなせる通訳者になりたい』は禁句!?
稼げる通訳者育成のカセツウです。
『どんな分野でも対応できる通訳者になりたい』
こんなことを言う通訳者さんもいます。いえ、まあ、いいんですけど、、、
個人の目標として周囲の友人や通訳者仲間にそのように言うのは良いかもしれませんが、アピールのつもりでクライアントや通訳エージェントにそう言っているなら、ちょっと考えた方がいい。言っておきますが、『なりたい』 がNGで、『なんでもできます』 ならOK、ってことじゃありませんよ。『どんな分野でも対応できる通訳者です』 というのもNGです。
印象としては、、、『で、何が専門なの??』 って繋がります。
『どんな分野でも任せてください!!』 って、、、
あなたの周囲の通訳者さんが、胸を張って言ったとします。それを聞いたあなたは、、、なんて思うでしょう?
『嘘つけ!!』
ってのが、正直なところじゃないでしょうか。
通訳というお仕事は、高度な専門性が求められるお仕事です。
そんな高度な専門性が求められるお仕事で、あれもこれも、医療も金融も工業も、どんな分野でも 『バッチリ対応できます』 って、、、ちょっと信じがたい。
言ってしまえば、『どの分野もちょっとかじったくらい、”そこそこ” レベルにたどり着いてるかどうかでしょう』 なんて、言葉には出さなくても、反射的に思ってしまうはずです。
想像してみてほしいのですが、とある地方の出張中。お腹が空いて、食事できるお店を探しているとします。それでも閑散とした田舎町、東京のように歩けばお店にあたるなんてことはなく、空腹のままうろつきます。なんだか今日はパスタの気分。ダメだ、パスタを思い浮かべちゃったら、もう口の中がパスタ。パスタ、パスタ、、、
ようやく目抜き通りのようなところに出たら、目の前にはお店がふたつ!!
右のお店のメニューには…
『生パスタ専門店 ・ ミートソース/ボロネーゼ/トマトソース/ボンゴレ/カルボナーラ/ペペロンチーニ/めんたいこ/イカスミ…』
左のお店のメニューには…
『らーめん/うどん/そば/スパゲティ/かつ丼/牛丼…』
…パスタを求めているあなたは、どちらの店舗を選びますか?
たまには左のお店を選ぶ方もいるかもしれませんが、酒井なら圧倒的に右のお店です。パスタを求めているお腹に、らーめんやうどん、そばなんていらないのです。むしろ邪魔なのです。
これが、『なんでもできます』 の正体です。
もしかすると、左のお店のレベルはどのメニューもものすごいレベルの高さで、スパゲティにしても右のお店よりもおいしい”かも”しれません。その可能性はゼロではありませんが、、、それ以前に、”選ばれなく”なる可能性も高いんです。
ポイントは、本当はどうであっても、そう”思われて”しまうということ。それだけでどんなにおいしいスパゲティも候補から外されてしまいます。
あなたの周りで 『どんな分野でもできます』 と豪語する通訳者さんがいたらあなたはどう思うか。
パスタを求める時にらーめんやうどん、そばをアピールされるとどう感じるか。
こんな例を出してみましたが、伝わったでしょうか。
・・・でも、ついつい、自分軸になると、そんな当たり前のことが、見えなくなってしまうんですよね(^_^;)