「翻訳料はクライアントから入金があったら支払います」

ブログ担当の酒井です。

翻訳のクライアントから『翻訳料は弊社のクライアントから入金があったら支払います』と言われたことはありますか?

 

最初にこの話を聞いた時は、「へー、そんなこと言うクライアントがいるんだなぁ」くらいの認識だったんですが、案外このケースはとんでもなくレア、というわけでもなさそうです。というのも、同じような話や相談を他の翻訳者さん数人からも受けたからです。ちなみに、そのクライアントというのは同じクライアントではなく、それぞれ翻訳者さんによって違うクライアントでした。

ちなみにこの話を伺うのは、たいていこの条件そのものの相談ではなく、すでに受けてしまった翻訳案件の対応に関する相談(例えば品質管理についてどう考えればいいのかとか、チェックを始めてみたら訳文の質が悪く思ったより大変な時にどうしようとか)、そうした相談の流れで条件について確認した時にポロリと出てくるケースが多いです。

このことから推測できるのは、案外多くの翻訳者さんが、クライアントから『翻訳料のお支払いは弊社クライアントから入金があってから』と言われて、『そういうものなの?』と思いつつも受け入れちゃってるのかな、ということ。もしそこで『それはおかしい!』と強く感じるならその時点で僕に相談が来るでしょうし。

 

さて、では本題に戻って、果たしてこの条件に問題はないんでしょうか?

 

ただ、ここでは下請法とかそうした『法的にどうか』というのは置いておきます。僕はその専門家ではないので。(とはいえ、問題ありそうな気もしますけどね)

その上で、という話ですが、もし僕が翻訳者でそういう条件を出されたとしたら、請けないとは言い切りませんが、少なくとも『おっと、このクライアント、ちょっと注意しないとな』という対象にはなります笑。

というのも極端な話、上記の条件ではエンドクライアントからクライアントに支払いがあるまで翻訳者にも支払われないということになります。もしクライアントがエンドクライアントに対して『納品後6カ月後に手形で支払う』なんて条件で仕事を請けていたとしたら、翻訳者が翻訳を納品してから(最低でも)半年以上待たされることになるわけです。それって明らかにおかしな話ですよね?

大前提として、『エンドクライアントからクライアントへの支払条件(契約A)』と、『直接のクライアントから翻訳者への支払条件(契約B)』は完全に独立した無関係の契約です。契約Aが〇〇だから契約Bもそうであるべき、という話ではありません。つまり、このクライアントがやっていることは入金リスクを翻訳者のリスクに転嫁する行為です。(極端な話、『弊社のクライアントから入金がないから払えない』、と言い出してくるかもしれません。知らんがな、という話ですね)

そういう行為しようとする時点で、きっとそのクライアントは翻訳者にとって『お互いにリスペクトできる』クライアントにはなりえないんじゃないかな、と、そう感じます。だから、その時点で『お付き合い注意クライアント』に入ります。

 

 

 

その上で、請けるかどうかは判断したらいい

 

だからと言って、『そういう条件を請けちゃダメですよ』というつもりもありません。そもそもカセツウはそんなことを言える立場でもないですから。

ただ、もしカセツウのサポートを受けている方から事前に相談を受けたら、上記のお話や考え方を伝えたうえで『それでも戦略的に請けようと思うなら請けてもいいし、その前に交渉してもいいし、断ってもいいし。選べますよ』とお答えすると思います。その流れでその場合の交渉の仕方についてももう少しお話はするかもしれませんが。

大事なのは『そういうものかな・・・?』と感じた違和感や疑問を無視しないこと。そして、その上でその条件で請けるのか請けないのかを『戦略的に自分で選択する』ということ。

この点さえ間違えなければ、結果的に支払いに関するトラブルが起きても『自分で選んだリスクだしな』と前向きに捉えることができます。もし違和感を無理に無視して流されたように請けてしまったとしたら・・・いざトラブルが起きた時にものすごい後悔と場合によっては自己嫌悪が起きる可能性がありますから。

 

まあでも、今日のトピックでいちばん大切なのは、『お互いにリスペクトできる』クライアントとビジネスができるようにしましょうね、ということです。

最初からクライアントの性質を見極めることも難しいですし、多少なり痛い目を見ながら学んでいくこともあると思いますが、それでもできるだけ痛い目を避けれるようにカセツウを使っていただければと思います。

 

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